けむしろうの部屋別館

2006/02/19(日)07:09

偉人の迷言とIBM初代会長の発言に関するウソビア

いろいろ(42)

自らの実力で一つの仕事を成し遂げた人の言葉には重みがあるものです。 プロジェクトXで紹介されるような人が言う言葉を、私のような一般人が言っても何の説得力も無いですね。 しかしそんな偉い人たちでも「うっかり発言」というか自信の信念に従って発した迷言もあります。 そんな言葉を紹介するページがありました。 →先見の迷惑 今から考えるとちょっと笑ってしまう発言が多く、ビル・ゲイツの1981年の言葉「640Kもあれば、誰でも十分だろう。」は中々味わい深いものがあります。 1980年、IBMは自社で初めてデスクトップコンピュータを開発しました。その頃まだ創立したてのマイクロソフトは自社開発のOSを持っていなかったので、他社から買ってきたCP/MクローンのOSをIBM-PC用に発売した時期です。 そんな中で、IBM初代会長トーマス・ワトソンが1943年に言ったとされる言葉「恐らく世界中のコンピュータ市場の規模は、5台だろう。」というのがありました。 これは有名なウソ引用(いわゆる"ウソビア")だそうですね。 英語版WikipediaのThomas J.Watsonの"Famous misquote"の項で、ネットニュースの世界で広まった誤った引用であると述べられています。 元々はケンブリッジ大学の数学者ダグラス・ハートレーが1951年に語った言葉がいつのまにかワトソンの言葉として広まったというのが真相のようです。 その言葉を引用しておきます。 I went to see Professor Douglas Hartree, who had built the first differential analyzers in England and had more experience in using these very specialized computers than anyone else. He told me that, in his opinion, all the calculations that would ever be needed in this country could be done on the three digital computers which were then being built --- one in Cambridge, one in Teddington, and one in Manchester. No one else, he said, would ever need machines of their own, or would be able to afford to buy them. [拙訳] 私はダグラスハートレー博士に会いに行った。彼はイングランドで最初の差分解析機を作り、この非常に特別な計算機(computer)を使って他のだれよりも多くの知識を得た人である。 彼は私に、「これは私の意見だが」としてこう語った。 「この国で必要とされるすべての計算は、すでに開発されている3台のコンピュータでなされるだろう。その3台とはケンブリッジ・テディントン・マンチェスターにあるものである。他のだれもが、自分自身でコンピュータを必要としないだろうし、コンピュータを買うほど裕福ではない」

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