2021/04/18(日)05:02
宮沢賢治 作 「悪意」
花巻温泉のリゾート開発には、父親などの資本家が参加していました。農学校教師を退職して羅須地人協会を主宰していた賢治も花壇の設計で協力しています。教え子が花巻温泉株式会社園芸部で働いていたので応援したい気持ちがあったのでしょう。
しかし、賢治は、農村が不況にあえぐなかでの、資本家による温泉リゾート開発そのものには批判的で、こんな意地の悪い詩を書いています。
アンテリナムはいわゆる金魚草です。
ハーデイフロックスは、いわゆるオイランソウ、クサキョウチクトウのようです。
画像はいずれもWikipediaから、です。
(本文開始)
悪意
一九二七、四、八、
夜のあひだに吹き寄せられた黒雲が、
山地を登る日に焼けて、
凄まじくも暗い朝になった
今日の遊園地の設計には、
あの悪魔ふうした雲のへりの、
鼠と赤をつかってやらう、
口をひらいた魚のかたちのアンテリナムか
いやしいハーデイフロックス
さういふものを使ってやらう
食ふものもないこの県で
百万からの金も入れ
結局魔窟を拵えあげる、
そこにはふさふ色調である
(本文終了)
#宮沢賢治 #花巻温泉 #花壇 #遊園地 #悪意