DJ Kennedy/life is damn groovy

Isn't She Lovely / Stevie Wonder


涼しい風が今朝窓を開けると舞い込んできた。
東京ももうあと少ししたら夏とお別れなのだと思わせるような、秋めいた気持ちの良い風だった。

先週、夫が休みを取り、初めての日本探訪に出掛けた。前々日まで行き先が決まらず、あちこちから情報を取り寄せたが何も分からない為やっぱり決まらず、お知り合いの勧めもあり取り敢えず、軽井沢に決定した。

日本地図もしっかり読めない私達は、まだ目の覚めない朝5時過ぎに出発し長野へ向かった。朝イチのStevie Wonderはアラーム・クロックよりも効く。私などは、頭痛さえ治ることがある。ごきげんな大合唱のうちに、深い緑や山に下りる幻想的な朝もやが目に入ると、拍子抜けする程早く、目的地に到着してしまった。

霧雨の軽井沢は空気が美味しく、半袖でいては肌寒い。バルキィのスウェターを羽織って車を降り、まだ1日が始まっていない旧軽銀座を歩いてみた。

実は、私達は日本人にとっての軽井沢の存在価値を知らない。多くの著名人も別荘を構える避暑地であること、また、おしゃれな観光地で夏のみでなく冬も賑わうというインフォメイションだけを連れて訪れてしまったので、おそらくは毎夏を軽井沢で過ごされる方達には横目で見られてしまいそうだけれど、正直に言うと、「おお、これが軽井沢！」という感激はあまり感じられなかった。朝早過ぎたのも、悪かったかな？

そう言えばおなかが空いたと言い、美味しそうなペイストリィを飾るようにウィンドウに並べているパン屋さんに入った。そこで真っ先に目に入ったのは、こんがりと焼けたバゲットやバンズではなく、メンチ、だった。私はメンチが大好きで、特に街のお肉屋さんなどで揚げてもらったのをその場で食べるのがたまらないのだけれど、勿論そこまで求めてはおらず、とにかく朝のパン屋さんで見つけたことがちょっと良いショックで、迷わず夫が「２つください。」そしてメンチを受け取ると、夫はおソースを使い、私はそのままで、お店から出た。

これが、空気のせいか、旅の始まりで浮き足立っていたからか、いやいやそんなことではなく、本当に美味しいメンチだったのだ。衣はカリカリで、中のお肉はゴロゴロとした、練りの少ない食感が残っておらず柔らかい。そしてとてもジューシィだ。風味も良く、朝まだ7時半だと言うのにぺロッと平らげ、夫と目を合わせるなり「も一つね」

日本のテレビでは、所謂「ご当地グルメ」番組を多く放送していて、時には憧れの目で、時には鼻先で素通りしたいような気分でその土地の名物など観るのだが、どこにでも売っているメンチのようなものでも、その土地でこそ味わえる思い出深いテイストだと思ってしまうって、スゴイ。これはやはり旅の素晴らしさだと、ちょっと重たい胃を押さえながらこのあと数日間の、長野・新潟の旅に対する期待感に肩先がくすぐったいような喜びを感じるのだった。

因みに、あの美味しいメンチを売っていたベイカリィは、"ASANOYA"さんと言う。お向かいのFRENCH BAKERYでは、かつてジョン・レノンが愛したというバゲットが人気で私も楽しみに買った。外側はパリパリで内側はしっとりときめが細かく、とても良い風味だった。帰りに何本も買って、メンチとセットでお土産にした。

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またしても、突然不在に致しました。
留守中遊びに来てくださった皆さん、ありがとうございました。
またどうぞ、宜しくお願いします。