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テーマ:おすすめ映画(4026)
カテゴリ:映画野郎Bチーム
だが、それは起こった。
現実世界では時々、こんな偶然あるんだなあという事態が起こります。 しかしこれを映画や小説で書いてしまうと、ただのご都合主義ととられますし、リアリティがない、と批判されてしまうことがあるんですな。映画や小説と言うのは、現実よりも現実らしくないと、多くの人に受け入れられないところがあるのでしょう。 じゃあ、映画や小説で偶然性を描いて、見ている側を納得させるにはどうしたらいいかというと、伏線を張る、というのがオーソドックスな手法だと思います。 ただ、同じ伏線を張るにしても突飛な偶然を描く場合には周到な伏線が必要となりはしますが。それだけ偶然性というのをフィクションにうまくはめこむのって難しいんですよね。 それをうまくやっている作品はあるのか。 そのひとつの例が、ポール・T・アンダーソンのマグノリアです。 人の人生にはいろいろある。 いろんな人があちこちで繋がっている。 失敗しても立ち直れる。 偶然が何かを後押しする。 大勢の人間のある一日を同時並行的につないでいきながら、衝撃のクライマックスへとつなげ、スタッフロールの音楽(歌詞)まで含めてひとつの物語にしたてあげたこの作品、大好きです。 役者がみんないいし、音楽がとにかく映画の内容と不可分なものになっていて、素晴らしかったなあ。特に中盤のエイミー・マンの歌がいいんですよ。 個々のエピソードでは、登場人物それぞれの悩みが描かれるのですが、それぞれ、それほど突飛な悩みではなく、現実世界にいかにもありそうな悩みであるところもすごく良かったですね。これ、こうしたある意味普通といえるエピソードの積み重ねだからこそ、物語に奇妙なリアリティを与え、最後のクライマックスが来てもその奇妙なリアリティを維持し続けることが出来ているんですよね。 そして本作の白眉は、やはり『衝撃のクライマックス』ですね。 映画冒頭で、不思議な偶然を語った三つの事件が描かれていましたが、この三つの事件が記載されている本に、マグノリアのクライマックスと同じ現象が、かつてイギリスで起こったことが記載されています。子供の頃、私はこのクライマックスの現象について書かれていた本を読んだことがあって、そのときは子供心にものすごい状況だなあと思っていたのですが、映像化されたのを見て、自分の想像力がいかにしょうもないかを痛感させられました。想像以上。そうだな、そんなことがあったらこうなるんだろうな。すごすぎw 3時間の長尺ですが、最初から最後まで、音楽と画面で高いテンションを維持し続けるこの作品、時間を感じさせませんでした。 今まで見た映画の中で5本の指に入るくらい好きな作品です。 最後に蛇足的な話を。 マグノリアは新聞の紹介記事を読んで猛烈に見たくなった作品でした。 見たくなったのは記事に『群像劇』であり、『予想不可能なクライマックス』と書かれていたからであり、なおかつ映画全体を漠然とイメージさせつつ、是否この目で直接見なければ、と思う記事になっていたからでした。確か朝日新聞の夕刊の紹介記事だったかな?あの記事は、ネタバレをせずに未見の人を劇場に向わせる効果のある理想的な記事だったと思います。 これに対してテレビのCMと予告は最悪でしたね。 なんでクライマックスの1シーンを写しちゃうかね!しかも、あれ写しちゃった瞬間に、映画で何が起こるのかがわかっちゃうわけでしょう。 あれみて、すごく悲しくなったので、結局映画館で見なくていいやと思って、私は映画館に行くのをやめました。で、今回DVDを購入してきたようやく見た次第です。 配給会社の広告担当の方には、そのあたりちょっと考えていただきたいところです・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/11/03 07:03:08 PM
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