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カテゴリ:歩く図書館と本の虫
『銀河ヒッチハイク・ガイド』シリーズの最終巻です。
第4作『さようなら、今まで魚をありがとう』から8年後に書かれたこの最終作ですが、これまでの作品とは全く異質な感じがする作品でした。 腹を抱えて笑える能天気な明るい空気がたまらなかったこれまでとは異なり、シリアスな雰囲気が漂っているのです。第4作で幸せをつかんだはずのアーサー・デントは再び孤独になっているし、トリリアン(そして並行世界のトリシア・マクミラン)もかつて自らが選択しなかった人生を思っているし、フォードは『銀河ヒッチハイク・ガイド』を出版する会社の変貌に怒りを覚えているし・・・。やはりゼイフォードやマーヴィンといった強烈なキャラクターが顔を見せない影響でしょうか、笑いよりもシリアスさが強い気がします。新キャラクターのランダムは結構いいですけどね(終盤のトリシアを見かけたときの行動は最高)^^ ただし、物語の構成というか、小ネタの寄せ集め、といった感じの前半3部作とは異なって、一本の筋の通った話になっている関係か、読者をひきつける力はかなり強いです。一気に読めてしまう。 中盤からクライマックスへと至る流れの展開は大変読み応えがあって、面白く(ただし笑いはあまりないですが)グイグイと引き寄せられます。そして愕然の結末。一つの物語として見たとき、この作品は大変よくできた作品になっていると思います。 しかし、どうも違和感がつきまとうのは、結末もさることながら、これまでのシリーズの面白おかしい能天気さが、緊迫感にとってかわられているからでしょうか。 シリーズの最終作がこれというのは(一つの大きな物語として、きちんと完結できてしまう結末だったがゆえに)悲しすぎます。一つの挿話としてなら良いんですけどね・・・。あとがきによれば、ダグラス・アダムスもこの結末はシリーズ最終作としてはふさわしくないと思ったのか、続編を書く予定だったようですが・・・残念ながらなくなってしまいましたから・・・。もし完結編を作ったらどうなったのでしょうか。アダムスの言葉からすると、それなりのハッピーエンドにはなったのでしょうかね^^ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/07/26 10:41:14 PM
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