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2005年10月12日
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カテゴリ:読書日記
折りしも本日、ある事件の判決が決まりました。
母親に懲役12年=3歳の長女衰弱死-「あまりに残酷」・さいたま地裁


ネグレクト『ネグレクト 真奈ちゃんはなぜしんだか』杉山春著 小学館

この本のタイトルである『ネグレクト』とは育児放棄。
5年前に親にダンボールの中に入れられ、餓死した女の子がいたことを
覚えているでしょうか。

21歳の両親はあまりに幼く、父親はTVゲームに夢中で、
母親は育児ストレスからか通販にはまり借金漬け。
下の男の子はかわいがったものの、
女の子は赤ちゃんの頃の怪我が元で発育不全で
愛情がだんだん持てなくなった。
その結末がダンボールに押し込め、餓死。

本では、両親の成育歴をたどり、どうしてここまでになったのか、
逮捕後、裁判後の様子までを書いています。
読んでいて恐ろしかったのが、親子三代10代で子供を産み、
子育てに無関心だったこと。

どこかでこの連鎖を断ち切ることもなく、
ついにここまで来たという感じでした。
驚いたのが、亡くなった子の祖母に当たる人は1958年生まれで、
最初の夫とうまくいかず飛び出した時に、
同人仲間に助けてもらったそうで、
その同人ってのが小説じゃなくてイラスト…
コミケとか行ってたのでしょうか。
本では仮名になってますが、
亡くなられた女の子はたしか古風な男の子のような名前。
ゲーマーの父親がつけたのかもしれないけど、
元腐女子の祖母の影響も強いのかなあ。

この子が生まれた時、祖母がまだ30代後半だったので、
これまた若くして未婚で産んだ曾祖母も60代だったのではないかと。
ちなみに出産に立ち会ったのは曾祖母。

事件が起きた時、疑問に思ったのは、
なぜ親が下の子だけ連れて遊びに来たりしてるのに、
祖母は何も言わなかったのだろう?
と思いましたが、これを読んで納得。
もともと子供に関心がないのです。
自分自身幼い子ども4人を残して出奔したりしてるので、
どうにかなるだろうと思っていたようです。
自分の母や祖母と比べて、信じられない祖母の姿でした。

生まれた時は喜んだりしても、物心両面の援助をするでもなく、
あまりに痩せてるのを見ると、注意はしても動かない。
母方の祖母に当たる人は特にそれがひどい。
二人が捕まっても下着の差し入れなどもしないし、
下の男の子の施設に顔を出すこともしない。
それなのに、娘からの手紙を平気でマスコミに売る。
結局、自分に面倒なことには目をそむけ、
楽しいことには関心を示すだけの人。
どうしたらそういう人間ができちゃうんだろう。
この祖母自身、子供の頃に母の男関係が激しく、
ろくに世話をしてもらえてないという背景があり、
その曾祖母は比較的裕福な家の娘だったらしいのに。
もうこうなったら、こういう人まとめて刑務所に送っちゃえ!
ここまで年寄りになったら無理かもしれないけど、
アメリカのように強制的にカウンセリングやセラピーを受けた方が
いいんじゃないかな。
少なくとも、この両親の下の弟妹に影響が出ないためにも。

この本に書かれているのは、家族以外で女の子にかかわった人(医師や保健士など)の「あの時こう動いていたら」という後悔の念と、
その対照的な肉親の言い訳めいた物言い。
公的な人の後悔もあまり気持ちのいいものではありませんが、
肉親の「だってしょうがないじゃない、まさかねえ」
といった調子の言い訳に無性に腹が立ちます。

両親もその上の世代から受けてきたネグレクトを受け継いだ犠牲者だとは思う。
でもやはり一番の被害者は、亡くなった子ども。
温かい手料理ではなく菓子パンと牛乳以外何も食べさせてもらえず、
両親と弟が一緒に囲む食卓をどんな思いで見ていたんだろう。
その気持ちを思うと涙が出てきました。

最後に、判決結果(両親揃って懲役7年)と、
その後の両親の発言が載っている。
あまりに明るく前向きな発言に、これでいいのかと複雑な気持ちになりました。





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最終更新日  2005年10月12日 22時30分41秒
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