大企業で下っ端をやっていた頃、上司に宛てて書く書類、たとえば報告書、伺出書などの書き方は、非常にみっちりと仕込まれた。大きな組織で、意思決定は少数の上層部に集中的に委ねられるが、上層部は直接現場のことは知らない。僕は営業マンで、出張して直接顧客の声を聞く立場にあったから、会社を顧客の声に合わせて導くために非常に気を遣って書類を書いた。
上司に報告する書類はふたつのパートに分ける必要がある。まず、客観的な事実を書く。営業マンであった僕のケースで言えば、顧客と話した内容そのまま、顧客の工場を観察して発見した事実など。この部分は、自分が見たり聞いたりして感じたことと同じように上司にも感じてもらえるよう、臨場感をもたせて書く。それと同時に、この部分に自分の主観を入れることは避けなくてはならない。それをやってしまうと上司の判断を操作し、混乱させてしまうことになるからだ。
続いて、パートを分け、はっきりと「所感および意見」と銘打った上で、自分の所感および意見を書く。この部分がないと、下っ端は単なるメッセンジャーボーイとなってしまう。また、現場を見てきた部下の見解は、上司の見解を操作するものであってはならないとしても、やはり上司にとって重要な参考意見となるからである。
今は社長である父親に宛てて自主的に「日報」と題したメールを打っているが、サラリーマン時代に仕込まれたこのフォーマットにできるだけ沿うようにしている。
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Last updated
2004年11月23日 23時19分52秒
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