2006/05/19(金)21:24
パブロ・カザルスのCD&鳥の本。
先日の「全国野鳥保護のつどい」で
溝口肇氏がチェロとの出会いについて
語っていた。
11歳のとき、テレビでパブロ・カザルスの
演奏を見て、涙がこぼれたそうだ。
パブロ・カザルス(1876年~1973年)
スペインのカタルーニャ地方に生まれた
チェロ演奏家、指揮者、作曲家。
チェロの近代的奏法を確立し
深い精神性を感じさせる演奏において
20世紀最大のチェリストとされる。
知識のない私が書くのは気が引けるくらい
偉大な人物のようだ。
溝口氏は最後に、カザルス最愛の曲である
故郷の民謡である「鳥の歌」を演奏。
「故郷の小鳥たちは、青い空に飛び上がると
ピース、ピースといって鳴くのです」
晩年、カザルスが必ずプログラムに加え
曲紹介の際に、世界中にメッセージを込めてコメントした。
1961年11月、米国ホワイトハウスにおいて
第34代大統領のジョン・F・ケネディを前に
約1時間の演奏。それを収録しているCDを
帰りがけに購入した。
ジャケットには、お辞儀をするカザルスと
拍手を送るケネディの姿が見える。
こんな本も買った。
愛鳥週間に合わせて、この時期になると
鳥関連の出版が増える。
鳥の雑学がよ~くわかる本 鳥たちの衣食住と結婚、子育て
著者:柴田佳秀 出版社:秀和システム
日本の野鳥だけでなく、世界中の野鳥の生態や機能が
詳しく、わかりやすく書かれている。イラストも秀逸。
項目が細分化されているので、飽きることがない。
楽しい参考書といった感じだ。こんなことも出ていた。
4月に見たコサギの捕食風景。
サギは白い色に反応し、集まる習性があるという。
仲間が足で水中を探り、驚いて飛び出した生物を
横から頂戴するらしい。これは共同作業であり
集団で行った方が沢山のエサにありつけることを
意味している。
もう1冊。
鳥と人間 われら地球家族
著者:山階鳥類研究所 出版社:日本放送出版協会
昨年の4月から9月までNHKラジオで放送された
「われら地球家族」の放送内容をまとめたもの。
日本の身近な野鳥の話題や鳥インフルエンザに関する
話題など、山階鳥類研究所らしい研究の成果が
集約されている。
1981年、沖縄県で発見されたヤンバルクイナ。
日本では約100年ぶりの新種である。
このときの様子や、命名に関するエピソード、さらに
絶滅を救うべく対策にも言及している。
先日、職場でそのNHKラジオを聴いていたら
どこの地方だか忘れたが、おじさんがトビに餌付けをして
それが、あたかも野鳥とのふれあいのように
明るく伝えられていた。
私は耳を疑った。NHKラジオはニュースでも野鳥に
関する話題を毎日のように取り上げてくれる。
夏鳥が来たとか、オオタカの保護が始まったとか
仕事中の私が思わず手を止めてしまうような
ニュースが多い。
しかし、このトビのニュースに関しては
呆れるばかりだ。
過去に餌付けをした結果、現在神奈川県の藤沢市で
何が起きているのか知っているのだろうか?
http://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/khozen/page100021.shtml
これは藤沢市のホームページである。
海岸でファースト・フードなんて食べようものなら
トビが急降下して奪い去っていく。
残念ながらケガ人も出た。トビは危険な存在になってしまった。
野鳥への餌付けが全て悪いとは思えない。
しかし、トビは小鳥やカモ類と違うのだ。
身体が大きい。爪が鋭い。頭が良い。
さらに、目が良い。タカ類の視力は人間と比べて約6倍。
望遠で見えるのではなく、鮮明に見えるのだ。
人間が今までのテレビならば、タカはハイビジョン。
紙袋から出されたハンバーガーも
はるか上空でロックオンすることが出来るのだ。
(昨年11月、宮ヶ瀬にて撮影。宮ヶ瀬のトビは私がパンを
食べようと知らんぷり。餌付けされてないから。警戒心も強い)
野鳥とのふれあいは素敵なことだが
藤沢市のような前例があることを
忘れてはいけない。
トビ=悪
いつの日か、こんな図式が成り立ってしまうのだ。
キッカケを作ったのは人間だというのに。
鳥と人間・・・・
明らかに有能なのは人間のはずである。
だからこそ、賢く付き合って
健全な関係を築き上げるべきだろう。