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本と映画と食事とあひる

2019.11.29
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カテゴリ:読書
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岩波文庫的 月の満ち欠け [ 佐藤 正午 ]
価格:935円(税込、送料無料) (2019/11/29時点)




 前のお買い物マラソンで購入して、昨日読み終わりました。

岩波文庫的 『月の満ち欠け』。

ベテラン作家 佐藤正午の直木賞受賞作です。

長崎在住の作家さんで、中央文壇につてがないためか、

大きな賞を逃してきた過去があります。

なので、ファンとしては本当にうれしかったですね。

ここ数年、ありがちですが、

選考委員よりずっといい作品を書いている人が落選という、

笑えないお話。多かったので。

 さて、単行本は姉妹に貸したまま返ってこないので

文庫版を買い換えました。まあ、解説が伊坂幸太郎だったというのもあり。

装丁が「岩波文庫的」というのもあり。

私はこういう遊び心商品に弱いです。

 以下、未読の方は何も先入観を持たずに読んでいただきたいです。

飛ばしてください。

私も単行本は佐藤正午の最新作、直木賞受賞という知識のみで読みました。








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 人は人をどこまで愛することができるのか―。

そもそも、愛とは何なのか―。

古今東西、ある種の小説のテーマです。

それを手練れの現代作家が描くと、

一筋縄ではいきません。

 ストーリーは小山内堅という初老の男性が上京し、

1組の親子と待ち合わせるところから始まります。

さほど親しくなさそうな両者。

その親子、特に娘の態度が不思議。

なぜか、小山内に対して挑戦的です。

少女は小山内の亡き娘の記憶を持っているということなのですが、、、。

 前世の記憶を持つ少女、困惑する親、

度重なる不幸な事故。

現在、過去と錯綜する時間、

複数の視点。

生まれ変わりという、一見すると荒唐無稽なストーリーに

リアリティを持たせ、

忘れがたい作品に仕上げてあります。

 決してファンタジーにも、おきれいなだけのラブストーリーにも

なっていないところが佐藤正午らしい。

切なく、胸を締め付けられるストーリーですが

作者の目は公平。

恋愛の持つ残酷さ、排他性、他者に対する無神経などもしっかりと描かれています。

 小説の終盤に

ウラジミール・ナボコフの『ロリータ』がちらっと出てきます。

そこでは触れられていないのですが

実はあの作品にも生まれ変わりの話が出てきます。

そのほか、与謝野晶子、吉井勇、『アンナ・カレーニナ』など

様々な文学作品がセンスの良い使われ方をしています。

本好きにはおすすめです。





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最終更新日  2019.11.29 21:15:48
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