いつも使っているカメラはニコンのFM-2という基本的には電池なしでも使えるカメラである。こんなカメラだから何一つ自動の部分などない。もちろんピントは目で見ながらピントリングを調整して合わせ、さらに絞りとシャッタースピードを適切に設定して写すのである。これを買ったのはもう10年以上前だと思うがすでにオートフォーカス全盛で特別カメラマニアでも写真マニアでもない自分がこれを選ぶと言った時カメラ好きの友人達は「なにを今さら・・・」と言う反応を示したのを思い出す。こういうふうにして写真を撮りたかったのである。好みというのは案外変らないもので今でも大変満足して使っている。
それでもパソコンを使うようになってだんだん普段のちょっとしたことはデジカメで済ますことが多くなってきた。これもやはりニコンのcoolpix4300というのを使っているのだが、こちらはオートモードにしておけばただ押せば写るというカメラである。しかし実はいろんな設定やモードがダイヤルとボタンの組み合わせで選べるようになっていて便利なようでいて何か自動以外のことをしようとするとかえって面倒で解りにくく大変不自由に出来ている。例えばただマクロ撮影(近くのものをアップで写すこと)したいというだけでもダイアルをシーンモードに合わせてからメニューボタンを押してクローズアップを指定して写さなければならない。なにかするときにこのボタンを押しながらこちらのボタンを押す、などという普段使い慣れない機能などは取り扱い説明書なしではとてもではないが覚えきれないのである。結局たいていはオートのままで使っている。「ああ、みんな手作業で出来るアナログなデジカメ(?)が欲しい」などと思ってもそういうのはとっても高くて手が出ないのである。不思議なことだ。
深夜窓から外を見ると少し雪が降ったようで数日ぶりに辺りが白くなっている。木々に積もった雪が月明かりで美しい。この感じ、と思ってどこかにあるはずの撮影マニュアルを引っ張り出してきて読み、ピントも遠景にボタンで設定して合わせて、というのにひどく手間取りながら初めてバルブ撮影(シャッターを数秒間開けきりにして夜空などをとること)に挑戦してみた。着込んで窓から乗り出して凍りそうになりながら何枚も写してみたのである。見ているそのままの感じはなかなか写らないが写真はこういうところが面白い(といえば面白いと言えなくもない・・・)。