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<わたし>の家の向かいの黄色い家には、町の人たちから“謎の女性”と呼ばれる女の人が妹と住んでいました。
その人は、20年近くも家の外に出たことがありません。 知らない人が来るとさっとどこかへ隠れてしまいます。 頭がおかしいのだと言う噂もあります。 ある日、<わたし>の家の郵便受けに“謎の女性”から一通の手紙が投げ込まれます。。。。 絵本「エミリー」は19世紀の詩人、エミリー・ディキンソンを、近所に住む少女の目を通して描いた作品です。 バーバラ・クーニーの絵が当時のニューイングランドを静かに優しく伝えてくれます。 主人公の少女とエミリーが接触したのはたった一度だけ!しかもわずかな時間なのですが、ひっそりとした階段の「まがっているところ」で白い服を着た2人が向かい合う場面は、2人にとっての真実の瞬間をみるようです。 ・・・心に美しく残ります。 少女は父親に「詩ってなあに?」と訊きます。 父親は答えます。 「ママがピアノを弾いているのを聴いてごらん。同じ曲を何度も練習しているうちに、あるとき不思議なことが起こって、その曲が生き物のように呼吸し始める。聴いている人はぞくぞくっとする。口ではうまく説明できない不思議な謎だ。それと同じ事を言葉がするときそれを詩と言うんだよ。」 少女が最後にエミリーから手渡された紙切れにはこんな詩がかいてありました。 天国をみつけられなければ・・・地上で・・・ 天上でもみつけられないでしょう・・・ たとえどこにうつりすんでも 天使はいつもとなりに家をかりるのですから・・・ 作者のあとがきによると死ぬ前の25年間、エミリー・ディキンソンは屋敷の外へは出ようとしなかったそうです。 知らない人には会おうとは、しなかったけれども子どもたちとは仲良しで、庭仕事の達人だったようです。 エミリーの死後、彼女の机の中から1800編近い詩を妹が発見しました。 周りからは、変わった人だと思われていたのでしょう、また孤独であったかもしれませんが、毅然と人生を楽しんでいたのでしょうね。 この季節になると開いてみたくなる絵本です☆ ※「エミリー」 マイケル・ビダード(文)バーバラ・クーニー(絵) ほるぷ出版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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