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今回のツアーは、運転手さんと添乗員さんだけだった。 バスガイドは乗っていなかった。 だから、観光のアナウンスはなかった。静かな旅だ。 良かったと思っていた。間違った。 高速道路の石鎚SAからひとりのおばあちゃんが乗ってきた。 大きな袋を抱えていた。静かに話し始めた。 「買わなくても結構です。私の話だけ聞いて下さい。 買わなくても結構です。ただ、聞かなければ損をします。 買わなくても結構です。ただし、後悔しないために聞いていて下さい」 ふむふむ、土産販売のおばちゃんのようだ。 「お客さまが明日のお昼ご飯をするお土産屋のものです。 お客さまの手をわずらわせないためにあらかじめご注文を受けます。 高松の土産屋なのに松山、高知、徳島のお土産を用意しています。 これが凄いのです。徳島に行ったのに四国四県のお土産を持って帰る お客さま、あんたは偉いと、みなさんから尊敬されます」 ふむふむ、なかなか手際の良い口調だ。 「私、これが売れないと、社長から首を切られます。 これ、そうリストラということです。私には孫がいます。 まだ働かなくてはいけません。孫のためにもひとつ買って下さい」 おっと、泣き落としときたか。おりゃ、封筒を出したぞ。 「この封筒をお客さまに差し上げます。タルトかひと切れ入っています。 これをパクパク食べながら、ひとつひとつの項目を書いて下さい。 絶対に買わないという人も封筒を見て下さい。 ほうれ甘いお菓子、絶対に買うよという気持ちになったでしょう」 ウヌッ!暗示をかけてきたぞ。 「個数のところに1か2か10とかできるだけ大きな数字を書いて下さい。 それぞれ税込みきっちり1000円ですから、それに数字をかけると金額がでます。 そして各々のお土産名の縦の数字を合わせるとお支払い金額となります」 オットー!算数ときたか。おぬし、なかなかやるわいな。 「そう、その数字のお金を封筒に入れて下さい。 多く入れるのは結構です。少なめに入れると、私の孫が泣きます。 頭脳明晰の大分のお客様ですから、多めに間違いますようにね」 そして、一端、封筒集め出すと、おばちゃん、これまた凄いのなんのたって 「封筒に金が入らないからもう一枚欲しいという人いる。 金が入った封筒を持っているのに取りに来てくれないという人いる」 ふむふむ、こうなると、何も言えなくなるよな。 私は唖然としておばちゃんを見つめていた。 人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな! ■私が応援しているブログです。フク爺さんが私です。 下記をクリックして、一度覗いてみて下さいな。 →里の茶店「しゃらの木」・フク爺さんとサチ婆さんの立ち話 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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