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キータンのひとりごと~昭和せつなく懐かしく

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キータン.

キータン.

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2007.10.03
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  昔の修善寺温泉街  1003.gif

私の友人に消防士がいる。彼が語ってくれたことがある。

「消防士は最後まで助けることを諦めないんだ。
 消防士が諦めた瞬間に救助を求めている人は死ぬということだ。
 だから、消防士はどんなことをしてでも助けようと努力し続けるんだ」

そして、彼はぽつりと言った。

「そのために、亡くなった仲間が少なくない。
 消防士、せつなくてせつなくて、でも誇りに思える仕事さ」


客は全員、避難場所へ無事に避難することができた。
そう思って、旅館の女将さんはじめ従業員はほっとした。

再確認した。ひとり足らなかった。
老人客が部屋に残っているらしい。
女将、従業員の顔に不安感が漂った。

消防署の隊員達の救助作業は続いていた。

旅館の三階の部屋に、逃げ遅れた老人がいるらしい。
隊員に情報がもたされた。

三階の様子を探らなければならない。
階下からは、炎と煙が押し寄せていた。
建物の中へ入るのは危険な状態になっていた。 

それになにより、その余裕はない。

隊員は決心した。
老人がいるであろう部屋の窓にはしごを掛けて素早く駈け上った。
窓が木の格子枠で頑丈に覆われていた。

隊員が揺さぶるがはずれない。
中へ入ることができなかった。

「駄目だ。窓を開けることができない」

隊員は叫びながら部屋の中を覗いた。

煙が部屋に充満していた。老人が倒れていた。
はしごにいる隊員の叫び声を聞いた別の隊員が下からハンマー手渡した。

救助隊員は受け取るとハンマーで格子枠を強く叩いた。
叩いて叩いた。無我夢中で叩いた。
バシッ、鈍い音がした。格子枠が壊れた。

隊員はハンマーを落とすと窓を開け中へ入った。
気絶していた老人を抱えた。
煙をよけながら窓の外へ出た。

救助隊員は、はしごを滑るかのように落ちた。

瞬間、旅館の建物全体を炎が覆った。

老人は軽いやけどをしたが奇跡的に助かった。
木造建築だから有毒ガスを発生しなかった。
それが、幸いした。(つづく)

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Last updated  2007.10.03 07:44:29
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