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立ち食い蕎麦屋で、私はよく注文したのが「春菊天ぷら」だ。 今回も、それを喰ったということにしよう。 「ことにしよう」、ああ喰いたいななあ。 ふむふむ、チケット販売機で「春菊」を買う。 店の中に入る。カウンターに目立つようにチケットを放り置く。 蕎麦だから何も言わなくてもいい。 田舎ものは不安だから、つい、「蕎麦」と言ってしまう。 店員は無言でチケットをカウンターの下に落とす。 ザルに蕎麦麺を入れる。十秒たたないで茹でてどんぶりに移す。 鍋から玉しゃくじでつゆを麺にかける。 その上に春菊のてんぷらをつかんで無造作に置く。 わかめをパラッと置き、薬味のネギをパラパラとふりかけ、 どんぶりを片手でカウンターにドカンと差し出す。 これをわずかに三十秒以内でやりあげる。 うんにゃ、ベテランの店員のいるところは十五秒とかからない。 うん、早い、安い、腹が満たされる。 それにね、最近の立ち喰い蕎麦はおいしくなっているんだ。 まあ、それはそれとして話を続けよう。 このカウンターの高さがあるがために、子供が入ってこない。 立ち食い蕎麦屋が大人の世界であるのは、これが理由だ。 それにね、カウンターを前にして佇んで食べる。 足は自然とガニ股になるよね。 そうだろう。カウンターを前にして内股では安定しない。 そう、これで、女性が入ってこない。 ふふふ、立ち食い蕎麦屋が自然と大人の男の世界とならざるをえない。 カウンターに置かれたどんぶりを前にして割り箸を割る。 そうここが重要なところだ。 そう、両手で箸を割る、そんな格好悪いことをしてはいけない。 ふふふ……まず、箸を口に喰わえて、七味をかける。 そしてね、箸の片方を親指と人指し指で握りパチリと割る。 そう、何気なくね。 「ヨオッ、アンチャン」 かけ声をかけたくなる瞬間だ。 その瞬間なのに、ポキッと途中で折れたら絵にならない。 途中で折れたらどうするかって……。 ふふふ、周囲を見渡して箸をまた取って 今度は用心深く両手を使って割る。ただ、それだけだ。 その時に、割損ねた箸は、そっと箸置きに返しておく。 そう無様な証拠はすばやく消すということだべえ。 さあ、これから喰う。喰う。これがまた素晴らしい。では明日!!(つづく) 人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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