カテゴリ:ガキの頃
「廊下に立って、バケツでも持っておけ」 今から思うと凄いと思えるが、昔はそんな体罰は普通だったね。 そう、私達も負けてはいなかった。 「身体を鍛えられるし、静かにのんびりと過ごせるからね」 そうのたもうていたよ。 廊下に立っていると、しばらくして、扉が開いて、友達が出てくる。 「おまえもか」 「テヘヘヘヘ、思わず鳴らしてしまったよ」 「そうだよな。思わずだよな」 「まあ、ぼちぼち話でもしておろうや」 ふたり、廊下で立ち話をしていると、教室の方から叫び声がする。 「廊下のふたり、静かにしろオーッ」 テヘヘヘ、これが当たり前の光景だったね。 体罰を与える先生、体罰を受ける生徒、おおらかなものだったね。 そんな時、校長先生が校内巡視とかで回ってくることがある。 うん、背後に手を回してね。 校長先生が廊下から窓ガラス越しに教室の様子を見て回る。 厳しい面持ちの中に慈しみの想いがあふれていたね。 子供心に、その姿にはなんとなく威厳を感じたよね。 そんな校長先生が近づいていくる。 そういう場合、立たされていた私達はどうなるのだろうね。 校長先生に、当然、私達ふたりは見つかるわね。 「どうしたのかね。授業中なのに廊下にいるなんて……」 やさしい声で立っている理由を尋ねられる。 うん、やさしい声に素直に吐くしかないわね。 「そりゃ、授業中に音をたててはいけないよな。 反省はしたかね。これからは注意をしなさいよ」 校長先生は、私達の頭を交互になぜてくれた。 うん、温かい手だったね。 そして……校長先生の取りなしで、教室に戻ることができた。 社会人になっても、上司からよく叱られた。 その時、私はいつも思ったね。 「校長先生が現れて取りなしてくれないかかな」(つづく) 人気blogランキングへ←これと思ったらランクアップのためにクリックして下さいな! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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