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カテゴリ:読書
【楽天ブックスならいつでも送料無料】ドリアン・グレイの肖像 [ オスカ-・ワイルド ] ≪内容紹介より≫ 美貌の青年ドリアンと彼に魅了される画家バジル。そしてドリアンを自分の色に染めようとする快楽主義者のヘンリー卿。卿に感化され、快楽に耽り堕落していくドリアンは、その肖像画だけが醜く変貌し、本人は美貌と若さを失うことはなかったが…。 この夏、ジャニーズの中山優馬さん主演で舞台化されることになりましたね。 ジャニーズに興味はないけれど、舞羽美海ちゃん(元宝塚雪組トップ娘役)が出演。 チケットも確保しました。 ということで、原作を読んでお勉強しておきます。 オスカー・ワイルドの唯一の長編小説だそうです。 私は新訳版で読んだので、表現に違和感なく読むことができました。 一通りのあらすじを。 若く穢れをしらない美しさを誇るドリアン。 その美しさに魅かれた画家バジルは、見事なまでのドリアンの肖像を描く。 己の美しさをさほど認識していなかったドリアンだったが、 バジルの友人ヘンリー卿と出あったことで、己の美しさと魅力を強く意識するようになる。 そして、バジルの描いた自分の肖像画を見て、 「いつまでも若さを失わないのが僕で、この絵が老いていけばよいのに」と言う。 そこからドリアンの人生は狂い始める。 美しく天才的女優の少女シヴィルに出会い、求婚するが、 ドリアンへの恋を知ったために演技に集中できなくなったシヴィルを、バッサリと捨てる。 シヴィルはそれを苦に自殺。 ドリアンの心の醜さを現すように、肖像画に変化が現れる。 ドリアンは肖像画を人目に触れることのない部屋へ移す。 そんな中、展示会にドリアンの肖像画を出品したいとバジルが訪れる。 ドリアンは肖像画をバジルに見せ、バジルはドリアンに悔い改めるよう勧める。 しかしそんなバジルをドリアンは殺害してしまう・・・ 時は過ぎ、周りの人々は老いていくが、ドリアンだけは変わらぬ美しさを保っている、 その分、肖像画は彼の醜さや罪を現すかのように変貌を遂げていく。 ある日シヴィルの弟に遭遇するも、変わらぬ若さを盾に人違いだと言い含める。 しかし、やはりそれがドリアンだったと知った弟は彼の周りに出没。 ドリアンが開いたウサギ狩りの折り、ドリアン友人の誤射により弟は射殺される。 己を脅かす存在が居なくなり、これを機にドリアンは改心を決心する。 しかし変わらず醜悪な肖像画を見て、この肖像画は己の良心そのものであると気づく。 肖像画に切りつけようとするドリアン、響き渡る悲鳴。 屋敷の使用人達が発見したのは、美しい主人の肖像画と、醜く老いた老人の死体だった。 非常に利己的で自己愛的、究極のナルシズムとでも言うのでしょうか。 ヘンリー卿によって目覚めさせられた美と若さへの執着から、 また、バジルがあまりに精魂こめて描きすぎてしまい、 バジル曰く「自分の魂そのものを描いてしまった」故に起こった超常現象。 良く考えると恐ろしい。 ドリアンからすれば己の本質、それも醜い部分ばかりが浮き彫りになっていくのを突き付けられ、 バジルにとっては己の魂そのものを込めた美しい肖像画が醜く醜悪になった様を突き付けられる。 いずれも青天の霹靂、思いもよらぬ「おまえは間違っている」的な攻撃を受けたわけで、 それに対処しきれず人生を狂わされているのです。 ドリアンは悔い改めたつもりでも、実は本質は変わっていない。 ただの偽善だと思い知らされる。 良心なんてどうでもいい、現実の自分だけが美しく素晴らしければ良い。 と割り切れてしまえれば、また違った話になったのでしょうが、 それではただの悪人話で面白くないですものねえ。 自己愛に溺れた者は自己愛によって滅びるってことか。 また、著者ワイルドは同性愛の罪で実刑を受け、その後不遇のまま亡くなったそうですが、 バジルのドリアンを美しさに魅かれ、清いままの存在でおきたいという思い、 ヘンリーがドリアンに己の美しさと自覚させ、いかに美と若さが素晴らしいものかを説くさまは、 明確にかかれているわけではないけれど、友人の域を超えた気持ちが見え隠れしています。 ヘンリーとバジルはお互いに牽制したりジャブを放っている感じで、微妙な三角関係? 口の上手い(独特な論理をもった逆説家)ヘンリーに、愚直なバジルはあっさり負けるのですが。 この時代の、法に抵触しない程度のBLって感じでしょうかね。 美海ちゃんは、ドリアンに恋して捨てられちゃう天才女優(17歳)の役。 原作の中では、ジュリエットになったりロザリンドになったり。 舞台でも色々な役になるのかな。 楽しみです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.06.27 02:09:08
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