|
カテゴリ:舞台【音楽あり】
渡辺美佐子さんが一人芝居の「化粧」を演じているのは知っていた。
なんの作品が最初だったか、思い出せないくらい昔から 大女優さんでたくさんのドラマを見てきたから。 2010年が最後だったらしく、 1982年の初演から648回も演じてきたそう。 最近では、「舟を編む」主役の松田龍平の下宿先の大家さんで 彼の仕事が順調ならば、男があがったとほめ、 元気のない時もめざとく見つけ、夕食をともにしたり、 甲斐甲斐しくて包容力のあるおタケさんを好演していらした。 観られなかったことが残念だ。 観たい芝居はたくさんあるけれど、 観られる芝居には限りがあるから 出会えた舞台にはご縁があるんだろうな、 感謝 化粧 平 淑恵 posted by (C)kikimimiya さて、その「化粧」の五月洋子を引き継いだのは、 品行方正で清楚なイメージの平さんというのだからビックリ。 大衆演劇の座長さん、パッと浮かぶのは浅香 光代さんだったから。 鏡に向かって舞台化粧をしながら、 付き人やテレビ局の人など何人もと会話をする。 舞台の上には化粧道具の乗った机、 そばには舞台衣装の着物がかけてあり、 五月洋子の名前の幟が何本も横やうしろに見える。 舞台の上が芝居小屋。 鏡に向かう=客席に向かう設定。 一人芝居だから時間も短いし、一幕。 だから、ギュッと中身が濃くて、 セットの殺風景さから漂う寂寥感と 目の前の役者さんから発せられる熱さの ギャップからくる不思議な空気感に 引き寄せられた。 時々、ドーンと屋根に残った雪が まとまってすべり落ちるような音が響き、 なんの音なのか、わからないこともあり、 こわいような悲しいような。 最後に音の意味がわかった時が衝撃的で、 涙がとまらない。 五月洋子=平淑恵さんの女優魂というか覚悟が見えるような芝居だった。 その日はアフタートークショーがあり、 演出家と所作指導、主演女優の三人が登場。 着替えの為、少し遅れて平さん。 五月洋子でなく、元の清楚な女優さんで登場。 井上ひさしさんの書いた旅まわりの役者の話は 高畑淳子さんの「雪やこんこん」を観たことがあるけれど 鵜山さんは、この作品の初演の時に 初めて井上作品に関わり、沢竜二さんとも出会ったそう。 鵜山さん、文学座では平さんのひとつ後輩で、 役者としてはそれほどでもなかったと、ご本人の弁。 1989年に「雪やこんこん」などで芸術選奨新人賞を得ている。 「雪やこんこん」この時の主演が市原悦子さん。 その後、こまつ座では「父と暮らせば」「兄おとうと」など、 私の好きな作品の演出を手掛けている。 1964年、開場だから紀伊國屋ホールは、劇場も椅子も年季が入っている。 文学座、民藝、俳優座など、日本演劇界を代表する劇団はもちろん、 つかこうへい、野田秀樹、鴻上尚史、三谷幸喜ほかを送り出し、 「新劇の甲子園」とも呼ばれていたと知ると、この古さもありがたかったりして。 歌舞伎座がない今、他に古いところはどこだろうと頭をひねり、 日生劇場を調べたら、1963年だけど、日生はキレイなので、 何度かリニューアルされているのでしょう(資料にたどり着かず、(ーー;) トークショー。 真逆のイメージの大役に挑戦した平さんのまじめさ、 熱心さを沢さんが称えていた。 髪を染めたり、三味線を習ったりと役作りに没頭している平さんの 良き理解者。 信頼のトライアングル。 演出家と所作指導の飴と鞭がほどよく功を奏し、この素晴らしい、かつ 凄まじい舞台が出来たのだと、納得。 一人芝居、 紀伊國屋ホールは、後ろのほうに座った人もみんな、 ガーっと芝居に集中できるちょうどいい大きさ。いいな、このホール。 (2014年3月12日 紀伊國屋ホール こまつ座 「化粧」) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 31, 2014 01:03:29 AM
コメント(0) | コメントを書く
[舞台【音楽あり】] カテゴリの最新記事
|