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March 3, 2015
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カテゴリ:舞台【音楽あり】
プログラムが充実しているから事前学習していったほうがいいよ

という情報を得て、劇場があるキャロットシアターの26階展望台の喫茶室で
お勉強。お、『もっと泣いてよフラッパー』で観た酒向芳さんも出てる♪♪

晴れたら富士山も、が謳い文句、入場無料の展望台の喫茶コーナー。
あいにくの曇天。ゴマ豆乳モンブランと珈琲。


キャロットタワー 展望台

13時半。開演時間なのに、まだおしゃべりが聞こえる。
客電、落ちる。静かになる。非常口の案内も消える。
真の闇。目を閉じても開けても同じ。

これが主人公の杉の市と同じ状況。

もう一度目を開ける。非常灯はついていたけれど、まだ闇。

右前方からギターの音。後ろと左前方から咳きが聞こえる。
目を閉じていると感覚が研ぎ澄まされるというのは本当だ。
音と気配に敏感になる。

盲人がつたう導き綱という紐が四方に張られたシンプルな舞台。
初演の美術、朝倉摂さんの時から踏襲されている由。

津軽三味線のように激しく、時にはささやくように優しく奏でられるギター
そればかりか、擬音としても大活躍。
そうそう、同じ激しさでも場面によりフラメンコギターと弾き分けていたしね。

萬斎さん、初演の時に
「なんで引き受けたのか」といぶかしがられたそう。
ところが、いざ上演されたら
観に来た演出家や映画監督が(出来の良さを)悔しがり、
はまり役と評したそうで、それを今一度極めたいという思いが
今回の再演を了承した理由とのこと。

確かに舞台の上に立っているのは、いつもの清々しい萬斎さんでなく
(もちろん声も軽やかな身のこなしもまぎれもなく、ご本人なのですが)
顔つきからして主人公の杉の市として存在して。

杉の市

萬斎さんの前には古田新太さんが演じていた杉の市。
こちらはいかにもってカンジ。十分興味が湧きますが、
一見見えない分、萬斎さんのクールなワルは迫力あり。

薮原検校

一幕観終わって休憩。クールダウン、
とばかり冷たいリンゴジュース。

目が見える人より、事故で亡くなる人は実は少ないんだと
狂言回しの役の山西惇さんが語る導入。
視界に頼れない分だけ細心の注意を払っているから。

それなのになぜ。

膨大なセリフを、それと感じさせないくらい自分のものとして
過酷な盲人達の歴史が語られ、そして杉の市誕生と続く。

!!!!が絶え間なく、怒涛のように押し寄せるので
ちょっとリフレッシュしないと2幕目に突入できない。

ダダダダ!と押し寄せる情報についていくのがタイヘンだけど
辻萬長さん、萬斎さんだけでなく、皆さん滑舌がいいので
スルスル言葉が頭に入ってくる。

どのセリフも深い。無駄なセリフはひとつもない。
5尺一寸、座頭の持つ杖や舞台いっぱいに張られた導き綱が
効果的に使われている。

そういえば杖の5尺一寸、検校になれば13人扶ち。
何度も繰り返される数字の用い方も巧み。

原作、脚本、演出、演技、どれもが素晴らしく、かつバランス良く。

杉の市が江戸に出てきて初めて知る都会である日本橋、
音に溢れるシーンもほんとに良く出来ていた。
舞台の良いところが詰まった作品。

そうでなければ己の出世のため、
人を殺すのも厭わない主人公の話に
これほど惹き付けられる事はないだろう。

歌舞伎好きが観ると一幕目は「斧定九郎」
二幕目は「不知火検校」を思い浮かべてしまう。
杉の市は「色悪」そのもの。

杉の市と密通する市を中越典子さん。『W』で観て以来、
テレビより舞台のほうが魅力的な人なので期待して拝見。
「栗山さん(演出家)曰く『エロスの象徴』」という役。
「豊満な肉体を持っていないので演技で表現しなくてはならない」と
苦心の甲斐があって、難役の破滅的なヒロインを大熱演。

「豊満な肉体」のイメージって太地喜和子さんみたいな人?と
思ったら、初演で市にキャスティングされていたと知り納得。

その市に浮気をされるけれど、憎い相手の杉の市を破門できない
春海四方さんの演技も印象に残った。

最後に。

世田谷パブリックシアターは建物自体も好きな劇場。

この日は2階席。前から3列目、やや右より。
前の人の頭が邪魔になることもなく快適。

引いて観ているので、舞台全体が良く見えるから
俳優さん一人、一人の演技も、照明や美術の良さも
余すことなく堪能。

薮原検校 野村萬斎






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最終更新日  April 22, 2016 09:58:20 AM
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