衝撃的だった「詩」
ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな みずから水やりを怠っておいて 気難しくなってきたのを 友人のせいにはするな しなやかさを失ったのはどちらなのか 苛立つのを近親のせいにはするな なにもかも下手だったのはわたくし 初心消えかかるのを 暮らしのせいにはするな そもそもが ひよわな志にすぎなかった 駄目なことの一切を 時代のせいにはするな わずかに光る尊厳の放棄 自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ 私が中学を卒業する時に、担任の先生が下さった手紙と共にこの詩がしたためられていました。 その年の夏、私の父が癌で亡くなり、私の心は完全に行き場を失くしていました。「何故私だけがこんな思いをするの?」と心に頑丈な鍵をかけてしまったのです。心が乱れると、自ずと生活も乱れます。受験シーズン真っ只中にもかかわらず、学校に行かなくなったこともありました。 学校に行かなくなった私を心配し、先生がわざわざ家に迎えに来てくださったこともありました。その時は、それすらも鬱陶しいと思っていました。 最近になって、何気に楽天ブックスで茨木のり子の『おんなのことば』を見つけ、レビューが多かったので何気に購入しました。 何気に最初の詩を読むと、担任の先生がしたためた詩が載っていました。本当に心臓がドキっとしました。 「何気に」を連発しましたが、偶然ではなく必然なのでは?という気持ちになりました。現在の私への「戒め」の言葉のようで、身が引き締まる思いでした。 バッグに入れて毎日持ち歩き、通勤途中の電車で読むことにしました。繰り返し繰り返し…。