キモノで観劇・感激日記

上野で、ベルリン国立歌劇場の引越し公演「モーゼとアロン」を観る。

ストーリー的には、映画「十戒」を観ていると、とてもわかりやすい旧約聖書の出エジプト記を題材としたシェーンベルク（作曲）の未完のオペラ。

今回の公演の演出（ペーター・ムスバッハ）では、メタリックな装置に、民衆もモーゼもアロンも、出演者全員が同じ黒スーツ、黒サングラス、オールバックという風貌（女性も男性も）で、誰が誰やらわからない状態。今、歌っているのは、いったい誰なのか？？？

舞台は、暗い上に動きも少なく、舞台面的には盛り上がる偶像崇拝に酔う民衆の享楽的なバレエ場面もなく、物語を語る上で演出的には実に不親切。

上野文化会館の大ホールで上演するには、この演出では、箱が大きすぎる。
カーテンコール時に、演出家にブーが飛んだのも、しかたがない摩訶不思議な世界である。

理想主義者のモーゼと、現実主義者のアロン、その二人の間を彷徨う民衆は、未だ変わらない我々を指すのか？

ちなみに、今日が千秋楽であったため、舞台では盛大に色とりどりの紙テープが乱舞し、こもかぶりの樽酒まで登場。非常においしそうであった♪

指揮：ダニエル・バレンボイム　Musikalische Leitung : daniel Barenbolm
演出＆美術：ペーター・ムスバッハ　Inszenierng und Buhnenbilt: Peter Mussbach

衣裳：アンドレア・シュミット＝フッテラー　 Kostuüme : ANDREA SCHMIDT-FUTTERER
照明：フランツ・ペーター・ダヴィッド　 Licht : FRANZ PETER DAVID
合唱監督：エバハルト・フリードリッヒ　 Chöre : EBERHARD FRIEDRICH

モーゼ：ジークフリート・フォーゲル Moses : SIEGFRIED VOGEL
アロン：トーマス・モーザー Aron : THOMAS MOSER
若い娘：カローラ・ヘーン Ein junges Mädchen : CAROLA HÖHN
病人：ウタ・プリエフ Eine Kranke : UTA PRIEW
若い男：フロリアン・ホフマン Ein junger Mann : FLORIAN HOFFMANN
エフライム：ハンノ・ミューラー＝ブラッハマン Ephraimit : HANNO MÜLLER-BRACHMANN
僧：クリストフ・フィシェッサー　 Ein Priester : CHRISTOF FISCHESSER

ベルリン・シュターツカペレ　 STAATSKAPELLE BERLIN
ベルリン国立歌劇場合唱団　 STAATSOPERNCHOR

本日のきもの：　萩の刺繍訪問着に萩の帯・某美術織物が勢ぞろいの正装である。帯留はバロック真珠。