カテゴリ:歌舞伎
6月は、毎年恒例の渋谷はコクーン歌舞伎。演目は、数年前のニューヨーク公演を経て、今年5月~6月とドイツ、ルーマニアとヨーロッパ公演をした「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわのかがみ)」。
歌舞伎では同じみの公演で、わたしの記憶では、この演目をコクーンにかけるのは三度目では、なかろうか。席は、ほぼかぶりつきの平場の座布団席。たとえ荷物になろうとも、正座椅子を持っての観劇なら楽々である。 物語としては、 堺の魚売り団七九郎兵衛が、恩人である玉島兵太夫の息子の磯之丞とその恋人の琴浦を守るために、女房のお梶との夫婦愛、玉島にゆかりのある一寸徳兵衛と団七の友情とその女房お辰の心意気、親しい老侠客・釣舟三婦の義侠を描きながら、団七は、琴浦を救うため自らは誤って強欲な義理の父を殺してしまうのだが・・・さて彼らの運命は。 見どころは、やはり「長町裏」の場の舅殺しの場か。 通称、泥場と言って本泥と本水を使っての立ち回りであるが、コクーン歌舞伎では平場前列に派手に泥が飛ぶため、観客は、ビニールに包まれながらの観劇と相成る。 祭り囃子を背景に、見得を切りながらの様式美の濃い殺し場を、今回は、舞台の置き蝋燭、黒子の手燭やサーチライトなどの照明を効果的に使いながら、暗闇の中での緊迫感溢れる凄惨な場へと観客をいざなんで行く試みがかたずを飲む。 私的には、前の場の「釣舟三婦内」のお辰の花道での引込みが大好き。 自らの美しい顔を傷つけてしまったお辰に、三婦の女房が「ダンナの徳兵衛は大丈夫なのか・・」というようなことをいうと お辰は、自らの顔を差しながら「こちの人が好くのはここじゃない」と言い「ここでござんす」と胸元をポンと叩くのである。粋だぁ・・・着物も、黒の紗に白の博多が美しくほれぼれするほといい女。こんな女に惚れられている徳兵衛は、幸せ者よ~と、いつも感嘆してしまう場である。今回、七之助が好演するも若さが勝って粋さが薄れ、この台詞のインパクトが弱いのはおしい。 二幕、最後の大立ち回りは、客席での梯子を使っての立ち回りに始まり、舞台後ろの壁の屋台崩し(壁の向こうはコクーンの駐車場である)により、渋谷の町へ逃げたした二人(団七と徳兵衛)は、追われ追われて、パトカーに突っ込まれ、結局は、駐車場よりコクーン歌舞伎上演の劇場へ舞い戻る設定。歌舞伎は時空を超えて現代へたどりつくという意であろうか。実際にパトカーが出てくるのもご愛敬で大いに楽しめる。 粋な出演者同様、衣装もかっこよく目の保養、前述のお辰しかり、釣舟三婦の麻の縦縞や龍の模様のきもの、団七は演じる役者の家紋を首抜きにした浴衣や団七格子等、着物好きな私は、観ていてうれしい。 また、今回は、花道も近く臨場感たっぷりな上に、ちょうど目線が舞台より低く上を見る感じなるので、勘三郎丈や橋之助丈のふんどしが丸見えで眼福(笑)。 「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」 延享二年(1745年)、大坂で、人形浄瑠璃として初演。 作者は、並木千柳、三好松洛、竹田小出雲。 今回の演出は、串田和美 <配役> 団七九郎兵衛:中村勘三郎 一寸徳兵衛:中村橋之助 玉島磯之丞/奉行:中村勘太郎 徳兵衛女房お辰:中村七之助 三河屋義平次:笹野高史 大鳥佐賀右衛門:片岡亀蔵 釣船三婦:坂東彌十郎 団七女房お梶:中村扇雀 磯之丞の恋人・琴浦:中村しのぶ 終演後は、なだ万茶寮で懐石コースをおいしくいただく。あ~幸せ! 本日のきもの:泥が跳ねても安心の片貝木綿の絞、帯は水玉模様の綿の細帯、足袋は矢絣の柄足袋、半襟は黒地友禅のグルグル水玉柄。 コクーンで売っていた串焼き・・・おいしかった とっても受けたエプロン姿 彩りが美しい和食 デザートのココナツムースとラズベリーのアイス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 27, 2008 07:54:52 PM
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