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テーマ:ニュース(99442)
カテゴリ:市場動向
世界的な太陽光発電市場の拡大を背景に、中国の主要太陽電池メーカーも2012年および2013年の業績悪化から、2014年にようやく息を吹き返した。ニューヨーク証券取引所株式上場の9社は大幅な増益を背景に4社が黒字転換し、上海上場企業4社のうちハレオンソーラー(海潤光伏)を除く3社が黒字転換、深圳上場企業9社も拓日新能を除いて黒字化を果たした。
ニューヨーク証券取引所株式上場メーカーのうち、トリナソーラー(天合光能)の2014年業績は、売上高が22.9億ドルで前年比28.8%増加し、粗利益率は16.9%に上昇した。粗利益率向上の主な要因はASP(平均販売価格)の全般的下落にもかかわらず製造コスト削減によるもので、下流部門の太陽光プロジェクトの売上高が伸びたことも寄与した。営業利益は1億2,010万ドルと前年の損失から改善し、営業利益率もプラス転換し、純利益率は2.7%と前年のマイナス4.1%からプラス転換した。 カナディアンソーラー(阿特斯陽光)も、モジュール出荷の大幅増加を背景に売上高が当初見通しの29.3億~29.8億ドルに対して29.6億ドルと79.0%増加した。トータルソリューション事業の売上高は2013年の売上比率28.6%に比べて44.5%と向上した。 ジンコ・ソーラー(晶科能源)は、太陽電池出荷増を反映して売上高が16億824.7万ドルと41.0%増加。2014年12月31日時点のグリッド接続済み太陽光発電プロジェクトは502.6 MWで、2014年の太陽光発電プロジェクトからの売電収入は3,830万ドルと209.7%増加した。売上粗利益率は2013年の20.3%と比較して22.4%に増加した。 JAソーラー(晶澳太陽能)も、製品出荷の増加を背景に売上高が18億2,050万ドルと53.4%増加し、売上粗利益は2億8,310万ドルと124.8%増加、粗利益率は2013年の10.6%から15.6%に上昇した。営業利益は1億680万ドルと前年の赤字から黒字転換し、最終利益も7,200万ドルと黒字転換した。 これに対し、インリーグリーン・エネルギー(英利緑色能源)は、2014年売上高が太陽光発電システムの販売減で20億8,350万ドルと前年比6.0%減少した。売上粗利益は3億6,070万ドルと前年比49.7%増加し、粗利益率は17.3%と前年の10.9%から6.4ポイント上昇したが、営業損失は3,470万ドルで、営業利益率はマイナス1.7%、当期損失は前年に比べて改善したものの2億950万ドル。 中国の大手太陽電池メーカーは、世界市場の伸びを遙かに上回る製品出荷の拡大で、概ね増収増益を達成した。ただ、中国市場に限ってみると中国エネルギー局が2014年初めに計画した新規系統連係容量14GWに対し、結果は10.6GWにとどまった。2015年はさらに、世界最大となった中国市場の拡大が見込まれるが、これが滞る場合には出荷拡大で好収益を享受したメーカーの業績を圧迫しかねない。 さらに、中国メーカーは貿易摩擦問題も抱えている。EU委員会は、低関税でヨーロッパへの太陽光パネル輸出を可能にする中欧貿易協定違反を理由に、中国の大手太陽光パネルメーカーであるカナディアンソーラー(阿特斯陽光)、ETソーラー(中盛新能源)、レネソーラの3社に関税を課した。さらに、委員会は他の中国のパネルメーカー5社に対して、協定を厳格に遵守する必要があると警告した。 欧州および米国西部の太陽光パネル業界は、中国メーカーが巨大な過剰設備を構築し、多額の中国政府の補助金により、余剰製品をダンピングして不当に低い価格で欧米市場に供給していると主張。米国は中国の太陽光パネル産業に反ダンピング関税および相殺関税を課している。EUは2013年に、中国の太陽光パネル産業との間で、最低輸入価格と輸入数量を定める中欧貿易協定により、70%の輸入関税を免れている。しかし、この協定違反で高額関税を課せられた場合、収益力は大幅に低下する。安定しているとはいえ、世界市場で太陽電池価格が緩やかに値下がりする中、再び事業環境の悪化の可能性も高まる。 市場動向の関連記事 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.07.02 21:06:54
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