ラヴィ、おでって、平金、六分儀
盛岡に行く。まずはギャラリー・ラヴィ。小野寺彩子テンペラ展 Possibilita-IIが開かれている。未だにテンペラ画というのを全く分かっていないのだが、この小野寺さんという方は、テンペラ画のなかでもかなりディープな技法で描かれているようで、かなり有名な先生に習っていたこともあるらしい。金箔を貼った作品は、それでいて物静かな印象。テンペラという技法に惚れている人間が創っている空間が心地いい。あとは、彼女の蔵書と思しきテンペラ画についての本を読ませてもらった。テンペラ画に使う材料はいろいろあって、その中にはイカの墨袋なんてなのもあるのだそうだ。その辺について書かれた一節。1983年8月28日の体験金沢市大野港にて朝、港に着いたばかりの漁船からモンゴウイカ1杯を1,950円で譲ってもらいました。ゴルフボール大の墨汁袋を傷つけないように注意しながら、中身の墨をステンレス製のバットに取り出します。天日で乾燥させた後、乳鉢に入れ粉末状にします。灰汁を加えて煮るとアクが出るのですくい取ります。その後、アルカリを中和するために希塩酸を加えます。冷えた後、濾過し乾燥させ、乳鉢で粉砕して完成です。思ったより簡単です。カリウム液など使用しなくても灰汁だけで十分でした。(下線部はワタシ)ということで、すさまじいテンペラの世界の一端が垣間見えたかと思います。結構面白い本ですっけ。ということで、この本です。展覧会はラヴィで明日まで。併せて必見かも!続いて向かったのはおでって。ここでは「子ども絵と造形のサークルアトリエすみれ(幼児教室)&アトリエこだま(児童教室)第3回春の陽だまり作品展2008」が開催中。毎年観に行って激しいパワーに圧倒されているが、今年もしっかりアートの大波に飲まれてきた。今年は昨年比でいろいろな特色のある素材が使われている印象が強かったが、どの子も物怖じせずに素材でどうのということがなく自分の思いに軸足を乗せた表現をしていたのが目についた。偶然できた形でも、すごく必然的な作品に仕上げるたくましさはほれぼれする。DMにも使われていたイカの絵はどの子の作品からもほとばしる元気みたいなのが伝わってきた。Hちゃんという4歳の子の絵は、すごくシンプルで、ムダが一切省かれた構図にひきつけられた。ヘンな色気がなく、必要な形だけを画面に定着させている。あこがれるなぁ、こういう絵。6文字の題は七五調がしっくりくるはずの日本人なわたしに優しく突き刺さる。あかね空さんの娘さんの作品も飾られていた。1人だけ中学生(高校合格おめでとうございます)の出品で、素材もテーマも全然違う作品だったけど、あのおもちゃ箱をひっくり返したような会場にいい具合に溶け込む優しい雰囲気の作品で、その色づかいには命の脈動が感じられた。もっといろいろな作品を見てみたいなぁと思っていたら、そういう機会がいずれあるみたいだ。それにしてもスゴイ数の作品。きららアート・コレクションよりも密度が高い。壮絶なカーニバル。たまりませんなぁ~。ちなみにアタマの写真もこの展覧会の作品。これもすごく素敵。会場の様子。買い物ついでにギャラリーヒラキンの盛岡第四高校美術部展。これまたいろいろな作品があって、面白い作品展だった。強い個性を感じる作品はほんの数点だったけど、制作して、発表する機会を持つことが大事。今後の活躍を祈りたい。最後は六分儀の藤井里枝作品展。この方以前いた街で少しお世話になったことがある方。まさかこんな絵を描かれているとはつゆ知らず。作品はとてもメルヘンな感じが会場の雰囲気と相まっていい雰囲気を作り上げている。六分儀での作品展って初めて見たけど、少なくてもこの作品群は六分儀で展示するのが最もふさわしいだろうなぁという感じ。ちなみに作者のブログはこちら。六分儀のコーヒーも舌先に優しく浸み込んでくる。いい時間だ。