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カテゴリ:FC東京
11月28日ホーム最終戦。対する神戸はこの試合に勝ってJ1残留を決めたい。東京もリーグ4位で棚ボタACLを狙うためには、残り2試合を全勝するしかない。単なる消化試合ではない。天皇杯3回戦の不出来を見れば浅利のスタメンはあり得ない。しかし今季で引退する浅利が味スタのピッチに立てるラストチャンスなのだ。
試合は、終了間際まで0-0と膠着しこのまま終了かと思われた後半87分、鈴逹のコーナーキックに平松がドンピシャのヘディングを突き刺し東京での初ゴールをホーム最終戦で決めた。この試合を、リーグ戦では2節以来のスタメンで起用された平松は、「サリさんに頑張ってこいと声を掛けられ」ピッチに向かった。そして、ゴールを決めたのである。 平松は今季水戸から移籍してきた若きDFだが、城福監督の求める「DFは相手の攻撃を跳ね返すだけではダメ。奪ったボールを中盤に繋げ攻撃の起点にしないといけない。」という水戸時代とは全く違うこの考えに驚き、戸惑いながらも開幕から2試合に先発フル出場する。が、2試合で7失点。その後はベンチにも入れない日々が続いた。 控え組が定位置になってしまった平松は、練習後も遅くまで居残り、やはり控えの浅利とのパス練習をひたすら続けた。 今季チームに入ったばかりで、J2のレベルとは明らかに違う高度な技術を要求する城福監督の期待を完全に失ったのだ。この時を振り返って「正直、サリさんが声を掛けてくれなければ、心が折れていたと思います。」と平松は述懐している。 結果ホーム最終戦は、勝利で終わることができたが、浅利の出番は無かった。「もっと早くに点を取っていれば…」という試合後のセレモニーでの城福監督の言葉が虚しい。 セレモニーでは浅利もお別れの言葉を「会社(東京ガス)の理解がなければ今ここでこの場に立つことさえ許されなかったと思う」と感謝の意を一番に東京ガスに向けている。感慨深い言葉だ。浅利は今も社員選手なのだ。浅利と藤山がチームを去ることで東京ガスFC時代からの選手はゼロになる。今後もこのような退団セレモニーはあるだろうが、東京ガスに礼を述べる選手はいないだろう。 一つの時代が終った気がした。 12月5日いよいよ泣いても笑っても、東京の今季最終ゲーム、相手は敵地での新潟だ。 試合は、終了間際の89分、新潟を今季限りで退団する元東京の松尾のヘッドによって追い付かれ、1-1のドローで今季の全日程を終了した。 この試合、城福監督はリードしている展開であれば、終盤は浅利と藤山を投入し、守りを固めきっちり終わらせるプランを描いた筈だ。残り10分で交代カードを2枚温存していた事からも明らかであった。 その意図は、ピッチに立つ選手もスタンドのサポも十分にわかっていた。だから、先に入った藤山がCKに逃れた直後にフィールドサイドに立った浅利を見た選手は「サリさんが入る」と喜びの気持ちを抑えることは出来なかったと思う。スタンドも浅利コールを始めた。 しかし、交代は相手のCKを待ってからとなった。「サリさん入れないのか」「相手コーナーが先らしい」「何でだよ」この一瞬だけ、選手もサポも集中力を欠き、痛恨の失点となった。 この失点パターン、浅利らしいと言えば実に浅利らしい。 一般的に試合終盤でリードしているチームが守備的な選手を投入するという事は「逃げ切り」の合図を意味する。前線の選手は遅攻によって時間を稼ぎ、後方の選手は引いてゴールを守るという合図だ。原監督時代の東京では浅利が途中で入るのがその合図。ところが、当時は、時間稼ぎや引いて守ると途端にスピードまで落ちて逆に失点してしまうことが多々あった。別に浅利が悪い訳ではない、チームが戦術的に未熟だっただけなのだが「なんか浅利を入れると失点しちゃうね」とサポからは、密やかに縁起悪がられたものである。 だから最後の最後まで浅利らしさを貫いちゃったな~って、ちょっと笑っちゃいました。 兎にも角にもピッチに立って浅利のラストゲームは、終わった。 「点をとって、サポーターの方に走っていきたいです。」が毎年浅利の目標だった。結局J1初ゴールは叶わなかったが、本当に幸せな終わり方であろう。 「これからの目標は、このFC東京を日本一、世界一のクラブにすることです。」とセレモニーで宣言した。社員さんなので今後もFC東京に係われる仕事が出来るかは、定かではないが、是非フロント幹部になってその目標を達成し、一緒に歓喜しようではないか。 今季退団する「浅利悟」という男(完) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.12.11 22:59:48
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