|
カテゴリ:カテゴリ未分類
子供の頃、母が好きだったのか、ラーメン屋さんによく行った気がする。
そこで見かける光景に、ラーメンとライスを注文し麺を食べ終わった汁にライスを入れて汁ごと食べる働き盛りの若い人の姿があった。 子供心に、食べ終わったラーメンの汁にご飯を入れて食べるなんて、決して上品ではないし、美味しそうにも思えなくて、ラーメンだけではお腹がいっぱいにならない人たちの、お腹をいっぱいにするための仕方のない方法だったのかと思っていた。 だから、大人になってからも、ラーメンにライスを注文する人には、なんとなく違和感を覚えた。勝手な思い込みなのだが。 ダンナもラーメンにライスを注文する人だった。 チャーシュー丼も、明太子丼もあるのに、ライスがいいのだそうだ。 わたしは不思議で、なぜラーメンにライスは外せないのか聞いてみた。 麺とライスを一緒に食べるのが旨いというのだ。 ―えっ?汁とご飯じゃないの? ―違うんだよ。麺とライスなんだよ。 私は俄然興味を持った。ラーメンとライスの関係は、汁と結びついていたと思っていたから。 ダンナのライスを少しもらって、麺と一緒に食べてみた。 ―う~ん、おいしいっ。 ご飯の甘味と麺の複雑な味が混ざって、何ともいえない味になっているのだ。初めての体験だった。すごく新鮮な驚きだった。何度もひとり頷きながら、ダンナからライスを分けてもらって食べた。 麺にもいろいろあって、ライスに合う麺合わない麺があるそうだ。麺の味がわりとしっかりしたラーメンが合うらしい。 私は、教えを請う生徒のように真剣に頷いたのだった。 世の中には私の知らない世界が、たくさんあるのだなあ、とつくづく思った。 ちょっと、嬉しい発見だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|