サバイバルな家
寝室は和室で障子がある。このところ、夜になると時々カサカサ音がする。見ると、ヤモリの子供が障子の面を走っているのである。向こうも私が動いたりすると驚くらしく、走り登っている障子から落ちてポトリと音がする。突然いたりするとギョッとするが、まあヤモリは家の守り神だそうだからありがたく守っていただきたく思う。と、私は思っているがネコの「はな」は違うらしい。真剣に追いかけるのだ。目をキラキラさせて。だから「はな」に見つからないようにと願う。寝室の入り口はカギのついていない引き戸になっている。寝室で「はな」がヤモリを見つけたら大変だ。走り回って棚の上にのり、タンスの上にのり大騒ぎになる。娘がやっと眠ったのに、ってタイミングでよくある。この頃の夜は涼しくなったせいもあるが、「はな」が出入り出来ないように寝室の戸を閉めている。しかしカギのついていない引き戸なんて「はな」には障害にならないらしい。深夜ガラガラと音がして、熟睡してる私は何事かと、入り口を見ると得意げな「はな」がわたしの顔をみてニャアという。そう、簡単にあけることが出来るのだ。簡単に引き戸が開かないよう、しん張り棒を置いてみたが、引き戸を開けてと外側から戸をガリガリする。あ~やめて!子供が起きてしまう…で、今は夜だけ「はな」がガリガリする戸のそばにトイレットペーパーの袋を置いて近づけないようにしている。今のところそれで問題はないみたい。他の虫とかも(本当は家の中にいてほしくないんだけど)追い掛け回すけどヤモリは特別みたい。この前も寝室の前の廊下で「はな」が大騒ぎし、積んであった文庫本や棚の上の小物など落として私に怒られた。その後しばらくして、居間でくつろいでいると、「はな」がご機嫌で居間に走りこんできた。見ると口に何かをくわえている。私の前までくるとぽとりと口にくわえていたものを落とした。あーやっぱり! ヤモリだった。口から落とされたヤモリは窓の方へ走って逃げていく。良かった~まだ生きている! 「はな」がヤモリを追いかけ私は「はな」を追いかける。寸でのところで私が「はな」に追いつき、ヤモリは外に逃がすことができた。「はな」はヤモリがいた辺りをウロウロと探す。わからないけど「はな」にしたら、わざわざ私のところへもってきたのは、自分の猟のお手柄を見せに来たのか、朝方の大騒ぎのお詫びのしるしだったのか、ただのプレゼントの気持ちだったのか…「はな」を呼ぶとたっぷりと「はな」のおやつ「きびちゃん」(にぼし)をあげた。「はな」は嬉しそうに「きびちゃん」を食べるのだった。