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2004/07/31(土)07:27

日露戦争下の日本

映画・本・音楽・ドラマ(828)

今年は、司馬遼太郎の名作「坂の上の雲」もTV化される。脚本家の野沢尚氏が自殺して しまい、脚本家変更による影響は心配だが、いずれにしても20世紀の日本の指針を、 大きく決めてしまった日露戦争をどう描いてくれるか、楽しみにしている次第。 今日の新聞に、「日露戦争下の日本」という本の、さわりが紹介してあった。 日露戦争時、日本軍の捕虜となったロシア将校の奥方が記した記録である。 その奥方、ご主人が捕虜になったと聞くや、何と、敵国日本に渡り、しばらく滞在したとの ことである。 驚くべきは、当時の日本はその奥方の行動の自由を保障したという点である。 さらには、奥方の滞在地の町の住民は、奥方を慰め、温泉に連れて行ったりと大サービス。 戦後、勝利に沸く国民を代表して、滞在地の政治家夫人が「帰国が敗戦したというのに、 はしゃいでしまってすみません」と謝るという逸話に、本当に新鮮な驚きを覚えた。 コラムでは、近代化を焦る日本が象徴されていると、意図して親切に振舞ったようにコメント しているが、それは違うと思う。 「相手の立場を思いやる美徳」は、明治維新後に無理して身に着けた特性ではない。 古くから日本に、そのような徳があったことは、維新後すでに新渡戸稲造が「武士道」に 記していること、また、私自身、薩摩出身の曾祖母などから散々聞かされていたことからも 日本人が、本来身に着けていたものと信じたい。 「いい話を聞いた」そんな気分であり、ぜひとも読みたい本である。

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