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cozycoach@ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…

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2021.11.06
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 国際社会における日本の競争力低下が取り沙汰されて久しいです。

 中でも科学技術力の弱体化はしばしば指摘されるところで、確かに日本の論文発表数や世界大学ランキングの順位などは近年停滞、ないしは下落傾向にあります。

 ”「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるか”(2021年3月 中央公論新社刊 小林 雅一著)を読みました。

 最新の性能ランキングで3期連続の4冠を達成して世界一に輝いた「富岳」によって、電子立国・日本は復活するのか、新技術はどんな未来社会をもたらすのか、などを解説しています。

 加速する少子高齢化や人口減少なども相まって、今後日本が衰退の道を辿るのは必至と見る向きも多いですが、それは本当でしょうか。

 そうした悲観論者に問いたいです。

 日本の理化学研究所と富士通が共同開発した「富岳」は2020年、スパコンの計算速度などを競う世界ラッキングで2連続の王座に就きました。

 巨額の開発資金、そして大規模な設計チームの並み外れた頭脳と集中力が求められるスパコン・プロジェクトは、その国の経済力や科学技術力など国力を反映すると言われます。

 実際、過去四半世紀以上に及ぶ世界ランキングで首位に認定されたのは日本と米国、そして中国のスパコンだけです。

 しかも直近では日本の富岳が1位です。

 3期連続4冠達成 TOP500、HPCG、HPL-AI、Graph500にて世界第1位を獲得し、TOP500、HPCG、HPL-AIにおいて3期連続の世界第1位を獲得しました。

 これを見る限り、日本の科学技術力は今なお健在で、世界でもトップクラスに位置していると見るのが妥当ではないでしょうか。

 確かに往年の勢いはありませんが、だからと言って今後も衰退の一途を辿ると決めつけることもできないといいます。

 小林雅一さんは1963年群馬県生まれ、東京大学理学部物理学科を卒業し、同大学院理学系研究科を修了後、雑誌記者などを経てボストン大学に留学しマスコミ論を専攻しました。

 ニューヨークで新聞社勤務、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所非常勤講師などを経て、2006年よりKDDI総研リサーチフェローとなり、情報セキュリティ大学院大学客員准教授も兼務しています。

 「富岳」は理化学研究所の「京」の後継となる、日本のスーパーコンピュータです。

 2014年に開発開始、2020年より試行運用、2021年に本格稼働しました。

 名称については2019年2月から4月まで公募を行い、5月にポスト「京」ネーミング委員会により7案に絞られ、更に理化学研究所理事会議により「富岳」に決定されました。

 ハードウェアは、富士通が開発したCPUのA64FXを搭載し、京の約100倍の性能と、世界最高水準の実用性を目指しています。

 ソフトウェアは、IHK/McKernelという名前の軽量マルチカーネルオペレーティングシステムを使用していて、LinuxとMcKernelの両方を使用し、同時に並行して動作します。

 設置場所は兵庫県神戸市・ポートアイランドの理化学研究所計算科学研究センターで、主要ベンダーは富士通です。

 日本の科学技術力についての問題は、競争力の低下に歯止めをかけ、再び上昇に転じさせるには、どうすればいいかということです。

 単に人口が減少するという理由だけで、それができないと断じるのは早計に過ぎるでしょう。

 本書は富岳のようなスパコンの中核をなす「半導体」、そしてその活用対象として今、最も期待されている「AI(人工知能)」という2つの分野に焦点を当て、日本が再び科学技術立国として歩み出すための道を探っています。

 かつて1980年代、日本はDRAMと呼ばれる記憶用部品を中心に,世界の半導体市場を席巻しました。

 半導体は産業の米と言われ、この分野を完全に掌握した日本は、便利で洒落た電気製品を世界市場に出荷して巨額の貿易黒字を稼ぎ出しました。

 当時、日本はハイテク・ジャパンや電子立国などと世界から称賛されました。

 しかし、その後の日米半導体協定などを境に、日の丸半導体、ひいては日本のエレクトロニクス産業は競争力を失っていきました。

 その後、1990年代のインターネットーブームを境に、世界のハイテク産業を支配したのはGAFAに代表される米国の巨大IT企業でした。

 今、米国の巨大IT企業があらためて半導体技術に力を注いでいます。

 折からのAIブームに乗って、ディープラーニングと呼ばれる機械学習を高速にこなすAIチップの自主開発に乗り出したのです。

 AIを使った製品やサービスを生み出すソフトウェア開発競争が飽和し、今後はむしろ半導体のようなハードウェア技術がこの分野における競争力の源泉になると見られるからです。

 ここに日本の勝機が生まれようとしているのです。

 日本の半導体産業には底力があり、その卓越した設計能力は今なお健在です。

 理研と富士通が自主開発し、富岳に搭載した超高速プロセッサA64FXは、AI処理も得意としています。

 これは世界的にも高い評価を受け、米国の主要スパコンーメーカーHPEクレイも、今後このプロセッサを自社製のマシンに搭載することを決めました。

 A64FXには、1980年代から日本のエレクトロニクスーメーカーが技を磨き、その後も脈々と受け継いできたベクトル型プロセッサ、あるいはSIMDと呼ばれる技術が活かされています。

 こうした日本の伝統的技術が今、AIチップのような最近の半導体製品がARMと呼ばれる標準アーキテクチヤに従って、装いも新たに蘇ろうとしています。

 これは単にスパコン開発に止まらず、スマホやタブレットなどモバイル端末からウェアラブル端末、クラウド・サーバー、今後の自動運転車などからIoT製品まで、さまざまな分野に用途を広げています。

 富岳に搭載されたA64FXもARMアーキテクチヤに準拠しているため、今後スパコンで培われた最高レベルの技術をコンシューマー製品からサーバーなど企業向けまで広範囲のビジネスに応用していくことができます。

 ここに日本産業界の新たな可能性が拓かれようとしていますが、チャンスを日本が確実に掴み取るためには、技術開発の礎となる先端科学の研究者をしっかりサポートする体制が必要です。

 世界最高の科学計算能力を誇る富岳は、本来そのために作られたようなもので、宇宙シミュレーションやがんゲノム医療など基礎研究から、新型コロナウイルス感染症対策に至るまでさまざまな領域で活用されています。

 他方、科学技術立国の再興をめざす日本が世界市場での存在感を取り戻すには、国内だけを見ていてはだめです。

 目を世界に向ければ、今、米国と中国は21世紀のハイテク覇権をめぐって激しい争いを繰り広げています。

 進境著しい中国企業は、米国政府による部品・技術の輸出規制など一連の制裁によって、国際市場での成長が阻まれています。

 基本的に米国政府が主導権を握る米中ハイテク覇権争いが、実は米国自身にもマイナスとなり、両国が次世代の技術開発で手間取る間に日本企業が世界市場で再び台頭するチャンスが生じているといいます。

 詳細は第4章で取り上げており、これは一つの事実として受け止めるべきでしょう。

 そして最後の第5章で、スパコンの次に来ると言われる夢の超高速マシン「量子コンピュータ」の現状を展望しています。

 ここでも米中間の技術開発競争は熾烈を極め、両国を代表する巨大IT企業や主要大学などが、互いに量子超越性と呼ばれるブレークスルーを達成した、と主張し合っています。

 しかし仮にそうだとしても、それを可能にした重要技術の多くは、実は日本の研究者が生み出したものです。

 この豊かな科学的資産を最大限に活用し、日本は21世紀を切り拓く量子コンピュータの開発でも、世界をリードしていく決意としたたかさが求められています。

 本書は月刊『中央公論』に連載された「スパコン世界一 『富岳』の正体」と題する記事を大幅に加筆・増強した内容となっているといいます。

 富岳を生み出した日本のコンピュータ技術力の源流は「FUJIC」にあり、1956年当時の富士写真フイルムに勤務していた技術者、岡崎文次氏(1914~98年)がほぼ独力で作り上げたそうです。

 FUJICの4ヵ月後に稼働し始めたETL MarkⅢ、あるいは東京大学や東芝の共同開発で1959年に完成したTACなどが最初期の日本製コンピュータとして知られています。

 この頃、東京大学理学部物理学科の高橋秀俊研究室に所属していた大学院生、後藤英一氏(1931~2005年)は、真空管に代わり動作が安定して故障しにくいパラメトロンという日本独自の論理素子を発明したことで知られています。

 この素子を使って、東大のみならず日立製作所、富士通、日本電気なども次々と国産計算機を開発していきました。

 残念ながら、その後はより動作速度の高い素子トランジスタにとって代わられ、パラメトロン・コッピュータの時代は長く続きませんでした。

 しかし1986年に、後藤博士はパラメトロン技術とジョセフソン素子を結合させた磁束量子パラメトロンを発明しました。

 この新しい素子は現在、グーグルや1BM、マイクロソフトなどと競うように量子コンピュータを開発しているカナダのDウェイブが、基本的な要素技術として自社製のマシンに採用しています。

 岡崎氏や後藤氏のような先駆者が切り拓いた豊かな土壌の上に、世界ナンバーワンのスパコン富岳が育まれたとすれば、伝統の力は今も生き続けていると見るべきでしょう。

 後に続く科学者やエンジニアがそれを受け継ぎ、発展させてくれることを期待したいといいます。

 日本の将来はそれにかかっていると言っても過言ではないでしょう。

はじめに/日本の科学技術が世界を再びリードする日/第1章 富岳(Fugaku)世界No.1の衝撃(富岳のAI処理能力で、GAFAも追い越せる/スパコン開発に必須な「技術への投資感覚」)/第2章 AI半導体とハイテク・ジャパン復活の好機(富岳の「使いやすさ」は米中スパコンを圧倒ー性能ランキング「TOP500」創始者に訊く/逆転の発想から生まれた注目AI企業の自主開発スパコン)/第3章 富岳をどう活用して成果を出すかー新型コロナ対策、がんゲノム医療、宇宙シミュレーション(コロナ治療薬の候補を富岳で特定ー創薬シミュレーションの実力/がん患者の命を救う全ゲノム解析とAI-富岳で劇的スピードアップ/富岳を使えば銀河形成の過程を忠実に再現できる)/第4章 米中ハイテク覇権争いと日本ーエクサ・スケールをめぐる熾烈な国際競争/第5章 ネクスト・ステージ:量子コンピュータ 日本の実力/おわりにー先駆者が切り拓いた豊かな土壌

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Last updated  2021.11.06 07:17:52
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