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北 の 狼

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Jan 28, 2004
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カテゴリ:カテゴリ未分類
カリントン&エルンスト


さて、シュルレアリスムとの関連でメルヘンとユートピアを概括してきました。

メルヘンのフェアリーランドにしても、ユートピアにしても、我々の日常とは「別のことろ」にあるものです。フェアリーランドは感性的世界としての「別のところ」ですし、ユートピアは理性的世界としての「別のところ」です。

また、両者に共通するのはこの点だけでなく、時間や歴史の概念が希薄だということも共通します。
ユートピアが単調な反復の繰り返しの社会であることは説明したところですし、フェアリーランドにしても時代の「非限定性」が特徴であったわけです。
しかし、シュルレアリスムは、生成し、変化し、流動し、場合によっては腐敗する現実との接点を見失うことは決してありません。つまり、歴史の視点を失うことはなく、生成や変化に身をゆだね、空間的・時間的な連続性の理論を追い求めるのがシュルレアリスムなのです。なぜなら、時間や歴史とともにこそある現実に内在する超現実という接点でフェアリーランドやユートピアといった現実とは「別のところ」にあるものを捉え、ーーーこの場合、フェアリーランドとはファンタティックなそれではなくフェーリクなそれです。ユートピア、とりわけプラトンやトーマス・モアのものはシュルレアリスムとの接点は見出しようがありませんが、フーリエのいうような多様かつ開放的なそれは可能性がありますーーー、それらに対して<自我を開いてゆく>ことがシュルレアリスムの第一歩なのですから。

シュルレアリスムには、可能性として二つの要素ないしは潮流があるということになります。一つは、フェアリーランドに対して<自我を開いてゆく>夢幻的な作風で(ヴィクトル・ブトーネルやレオノーラ・カリントンなど)、もう一つは(多様性があり開放的なタイプの)ユートピアに対して<自我を開いてゆく>コラージュやデペイズマンのような作風です(エルンストやイヴ・タンギーなど)。まあ、すべての作家や作品がこうクリアーカットに分類できるわけではありませんが、どちらの要素が強いかによって印象は結構変るものです。当初はダダの影響もあって後者の作風が多いですが、段々と前者が多くなっていったようです。

上にカリントン(『さてそのとき私たちはミノタウロスの娘に会った』)、下にエルンスト(『曖昧な女(シーソーをする女)』)の絵を掲げておきましたので見比べてみてください。
あえて一言でいえば、前者は「呪術的」、後者は「魔術的」ということになりますかなぁ・・・・。





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Last updated  Jan 29, 2004 01:52:36 AM
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