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2001年、インド、ミーラー・ナーイル監督。
インド上流階級の結婚式、その数日の日常生活をドタバタ劇風に描いた作品で、これがなかなか面白く、ヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞したのも納得です。 ********** ニューデリーに住むビジネスマン、ラリット・バルマ氏の庭では結婚式の準備が始まった。長女アディティが親の決めた縁談を急に承諾し、彼女はテレビ局の仕事も辞めて、彼の住むヒューストンに行くことになっていた。 バルマ氏は世界各地に散らばった親戚縁者を集めて伝統にのっとった豪華な式を挙げようとする。しかし、これがはからずも集う人々の複雑な愛のタペストリーを織り成すこととなった---心揺れる花嫁、聡明な従姉、不器用なウエディング・プランナー、貞淑なメイド。そしてバルマ氏は、結婚式までのゴージャスな宴が繰り広げられる中、それぞれの悩み、愛に対して様々な選択をしていく。 季節は厳しい夏の日差しを一掃するモンスーン。生命の再生と喜びをもたらすモンスーンの雨が苦悩を洗い流し、躍動感に満ち溢れた未来を指し示していく・・・・・・・ ********** ミーラー・ナーイル監督は女性ですが、日常のありふれた風景を繊細な感性とユーモアにあふれたタッチで、さらに少々の残酷さを加えるという、女性らしい視点の映画だと思います。 普段は一同に会することのない親戚縁者がほぼ全て揃う冠婚葬祭では、はからずもいろいろな人間模様が展開されることになり、それを題材とした作品は古くから映画の定番としてあります。 私なども葬式や結婚式でいろんな所にいきますが、面白いのはやはり何と言っても自分の田舎でのそれです。なにしろ赤ん坊の頃から私を知っている連中がたくさんいるのですから、嫌でも話は盛り上がります。とりわけ面白いのは婆さんたちで、遠慮もなにもあったもんじゃない(笑)。 この映画では、そういった人間模様のうち、恋愛物語に焦点を合わせています。 結婚するアディティ(花嫁)とビクラム(花婿)はもとより、アディティと不倫関係にあるヘマント、式場の準備をするウェディング・プランナーのデュベイとメイドのアリス、奥手のラーフルと美貌でスタイル抜群のアイシャ、そしてちょっと倒錯したところでは幼いアリアと叔父のテージ、精神的にやや不安定なリア。 涙あり、笑いあり、悲劇ありのこれら多数の恋愛物語を、結婚式(の準備)という場で同時進行的に描き出すミーラー・ナーイル監督の技量はなかなかのものがあります。 この映画の特徴を一言でいえば、【雑多】ということになりましょうか。 上で述べた多様な恋愛はもとより、衣装、モザイク状に配置された華やかな複数の原色、インド、イギリス、アメリカ、オーストラリアという雑多な人種(もちろん混血あり)、英語がメインですが時折飛び込んでくるヒンディ語やパンジャブ語。これらの【雑多】は、インドという国の縮図にもなっているわけですね。 ドキュッメタリー出身らしくミーラー・ナーイル監督の作品は、リズムやテンポがいいです。 ストーリーの進行もそうですが、歌唱やダンス・シーンの雰囲気、とりわけ結婚式前夜にアイシャが官能的に踊るシーンは最高でした。 この作品では個人にスポット・ライトをあてるとともに集団(社会)としての視点からインド人や人間関係を描いているのですが、個人として特に目についたのがこのアイシャ、そしてウェディング・プランナーのデュベイでした。アイシャは若くてスタイル抜群、いかにもインド風の美人で性格も素直で開放的、美人揃いの女優陣のなかにあってその華やかさは一際輝いていました。 デュベイは演技とりわけ表情が最高で、とにかく笑わせてくれます。アリスとは性格や行動のリズムはむしろ正反対に近いのですが、その二人がお似合いのカップルになるのですから世の中分らないものです。 いろんな意味で、インド映画の面白さを再確認させてくれる傑作でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 5, 2005 10:26:02 AM
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