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たとえると、こんな感じ。
真夜中の中央高速をひた走っている。西へ、西へ。 私は運転してるのでなくて、助手席にいる。 遠くには茫洋と光の少ない夜景が広がっていて、道の両側のオレンジの街路灯がやけに明るく糸を引いて流れていく。 運転している人のことをとても信頼しているけれど、とてもスピードが速くて、カーブのたび全身にGがかかって、 少しこわくて、ドキドキして、興奮している。 ……そんな毎日。 いま、自分の身に起こっていることが、ちょっと信じられない。 風景は目にとめるひまもなく、後ろに流れていってしまう。 ひた走る車のなかで、私はただ、ドキドキしていて。 いまいる場所を確かめなくちゃと思うけれど、シートベルトの端っこを握り締めているので精一杯。 長い育児休業で、ゆったりとした時間の流れのなかにいたので、 世のスピード感にまだ心も体もなじめていないのかもしれない。 現実感がないのは、睡眠時間が短いせいかな。 でも、もう戻れない。 フリーウエイは一方通行だから。 出会ってしまったから。 「今、この瞬間」のことしか考えられない。だけど、その「今」でさえ、刻々と後方彼方へ流れ去っていく街路灯のようで。 昨日のことは思い出せないし、明日のことは思い浮かべることさえできない。 ああ、昔の映画に、そんなようなフレーズがあったっけ。 とにかくとにかく、行こう。顔を上げたときに広がっている景色を楽しみに。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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