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カテゴリ:清水 明 ゴルフ小説
書き下ろし連載小説 「華蘇芳」 清水 明 2-2.ご家老様 支店のマドンナ、支倉麗子と伊達三郎は一度食事を共にした。 麗子の誘いに三郎が乗ったのだ。 青葉城を見学し、食事をして別れた。 「御姫様とデートしたのですって。」 弥生清次が三郎を冷やかした。 残業でオフィスに居る時だった。 70名程の支店だが、夜の8時を過ぎて席に居るのは数名だけだった。 それでも残っている者のほとんどが三郎の席に近かった。 「どうして知っているのですかと言えば、肯定することになる。 ノーコメントです。」 「本当なのは分かっていますよ。 余計な世話だが、まあ一緒に飲みに行きますか。 後何時間かで終わる仕事でもないでしょう。 女の紹介よりも気の利いた店を紹介しますから。」 飲み屋街の居酒屋に弥生と伊達のふたりがいた。 「伊達、伊達とそればかりでしたね。」 三郎は弥生に麗子とのデートを認めた。 「政宗の直系かと聞いたら、政宗の遣欧使節団の支倉常長の末裔と言って、まるで説教をくらったように、長々とした話を聞かされました。」 「遠縁を辿れば皆親類ですものね。」 「愉快じゃなかったから、こちらはアフリカ出身で700万年続く家系だと言って遣りましたよ。 人類学の講釈を入れてね。」 「御姫様は何て言っていました。」 「『冗談が御好きね。』 そう言っていたな。」 「まあ、気が合うようなら、止める訳にも行かないから、どうぞご自由にって事なのですけれどね。」 「わざわざ酒を飲んでの話にしては、あっさりな引き様だね。」 「ひとの恋路を邪魔する奴になりますからね。 まあ、相談事があったらして下さい。仙台暮らしがこっちは長いですから。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.06.06 15:02:17
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