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2011.06.06
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書き下ろし連載小説

「華蘇芳」
清水 明


2-2.ご家老様

支店のマドンナ、支倉麗子と伊達三郎は一度食事を共にした。
麗子の誘いに三郎が乗ったのだ。
青葉城を見学し、食事をして別れた。

「御姫様とデートしたのですって。」
弥生清次が三郎を冷やかした。
残業でオフィスに居る時だった。
70名程の支店だが、夜の8時を過ぎて席に居るのは数名だけだった。
それでも残っている者のほとんどが三郎の席に近かった。
「どうして知っているのですかと言えば、肯定することになる。
ノーコメントです。」
「本当なのは分かっていますよ。
余計な世話だが、まあ一緒に飲みに行きますか。
後何時間かで終わる仕事でもないでしょう。
女の紹介よりも気の利いた店を紹介しますから。」

飲み屋街の居酒屋に弥生と伊達のふたりがいた。
「伊達、伊達とそればかりでしたね。」
三郎は弥生に麗子とのデートを認めた。
「政宗の直系かと聞いたら、政宗の遣欧使節団の支倉常長の末裔と言って、まるで説教をくらったように、長々とした話を聞かされました。」
「遠縁を辿れば皆親類ですものね。」
「愉快じゃなかったから、こちらはアフリカ出身で700万年続く家系だと言って遣りましたよ。
人類学の講釈を入れてね。」
「御姫様は何て言っていました。」
「『冗談が御好きね。』
そう言っていたな。」
「まあ、気が合うようなら、止める訳にも行かないから、どうぞご自由にって事なのですけれどね。」
「わざわざ酒を飲んでの話にしては、あっさりな引き様だね。」
「ひとの恋路を邪魔する奴になりますからね。
まあ、相談事があったらして下さい。仙台暮らしがこっちは長いですから。」






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Last updated  2011.06.06 15:02:17
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