カツァリスという演奏家を名前と写真で顔しか知りませんでした。CDもないし、いったいどうして名前を知ったか?
たぶんNHK教育テレビの番組欄だったと思うけど。。。
今日のプログラムはチケットを購入したときから曲目を見てもピンと来なかった。
だから真っ白な気持ちで客席に座ることができて、かえってよかったです。
わたしがいつも行くピアノ演奏会はたいていモーツァルトやベートーヴェン、ショパンやバッハが中心でラテン音楽は初めてのことです。
先日のチェロのアンサンブルで「ブラジル風バッハ5番」に衝撃を受けましたが、今日はその続編というべきでしょうか。
前半のプログラムAには、ラテン音楽といってもペルー、キューバ、ブラジル、アルゼンチン、メキシコの作曲家の作品が演奏されました。
カツァリスさんは1951年生まれというので今年57歳のはずです。
演奏スタイルを見て驚いたのですが、非常にエネルギッシュでありながら繊細で技巧的なスタイルを難なくさらっと弾いてしまうのです。
椅子に座るとすぐに曲に集中して入り込むため、拍手が鳴り止むか鳴り止まないくらいの早い時間にすっと次の曲に入ってしまいます。
そしてよくピアノの演奏家に多い、必要以上に気持ちを入れすぎて体が動きすぎる、といったこともありません。
しかし、曲の最後の余韻を大変重んじる方です。
きっちり音が鳴り止むまで姿勢を崩しません。
その驚くべき集中力と、繊細なラテン音楽の細かな装飾音のリズムに観客は知らないうちに引き込まれてしまいます。この繊細な音と力強いリズムのどれも聞き逃してはならない、という気持ちにさせられるのです。酔いしれました。
あーそれにしても曲を知らないというのは恐ろしいことで、
聞いているわたしは、今何を演奏しているのか?というのが途中でわからなくなりました。
なんとかしてこのプログラムに該当するCDを購入したいもんです。
後半は日本の「かごめかごめ」の変奏曲から始まり、アメリカ・イギリス・フランス・チェコ・ドイツ・ハンガリー・オーストリアの作曲家の有名どころの曲が演奏されました。
その演奏を見ていてわたしが気づいたのは、「ピアノという楽器の可能性」です。
ピアノはその音域の広さから、10本の指を駆使すればひとりオーケストラが可能な楽器です。しかしそれを意識する演奏は実に技術的に困難で体力的にも大変で、困難なことなのです。
カツァリスさんの演奏はまさにひとりオーケストラでした。
しかもそんな体力を要する演奏を終えても息ひとつ乱れていません。汗さえかいていませんでした。
そして踊るような軽やかな足取りで舞台袖へ引き上げていく。
アンコールはなんと4曲。
1曲目はたしか本人がブラームスだとおっしゃっていたような。
演奏会が終わると、ロビーにアンコール曲が掲示版に張り出されるのですが、3曲しか書かれていませんでした。
あとの3曲はショパンのノクターン(たいていの人が聞いたことのあるやつねOp.90-2)、マルチェルロのオーボエ協奏曲の第2楽章、カラスコのアディオスでした。
今からCD検索にamazon.comとHMVに行ってきますわ~