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ピアノが届いた~klavierhaus~

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toshi38550697@ メッセージありがとうございます 日本では、根強いとは言いながらも グロ…
そのこ@ ドイツのピアノ はじめましてこんにちは。Grotrian Stein…

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2007/08/01
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カテゴリ:輸入ピアノ販売
 内部へのこだわり

DSCN0003.JPG
90年経ったアクションも健康であり、 象牙黒檀の鍵盤の材質も上等品です

mason6.jpg
鍵盤下の棚板部分(無垢材の木の材質を変えて強度と打弦ノイズの軽減を考えています)



mason5.jpg
アクション部分で 唯一改良したのが ハンマーシャンク(写真中央のハンマーの着いている棒)の下部にある 黄土色の革の丸い「ハンマーロール」です。これはスタインウェイのものと交換しました。(此方は心材がブナ)オリジナルは芯材がマホガニー製でさすがに経年変化で劣化が起こり木部にヒビ割れが見られましたので変更しました。

ダブルエルケープメントアクションの発明者フランスのエラール製と同じ材質にこだわってマホガニーの心材でしたが100年経った古いエラールのもこの部分は良く「ポッキっ」と折れます。

このアクション部分においては メーソンアンドハムリンも独自性を発揮したようです。初めて見る形式です。シングルスプリング形式のシュワンダー型(フランス)とダブルのVスプリング形式のレンナー型(ドイツ)の丁度2つの特長を併せ持つアクションです。(原型はフランスエラールのダブルスプリングアクション)また、NYスタインウェイには 人気のホフマンアクション(ホロビッツらも好んだ形式)も この当時はありました。

このメーソンアンドハムリン採用のアクションはシュワンダー型のレガートさ と Vスプリング
型の跳ね返りの反応の良さ を 併せ持つように 考えられていると弾いていて思います。
ただ手作りでも かなりの精度を要求されますから、世界恐慌以降の不景気下では次第にコストダウン、製造時間の短縮で部品精度も次第に劣って行き NYスタインウェイ社のアクションとの距離が次第に溝を空けられてきたようです。(現在は両者共に ドイツレンナー社製の部品アクション仕様のようです)



mason3.jpg
白い四角いフェルトは 虫食いが見られたのでレンナー製に交換しました。他はオリジナルです。
このアクションの形に 発明者エラールのダブルエスケープメントアクションの原型が見られます。
レンナー製の現行品アクションより「しっとり感」があり ハンマーが弦を叩いた後の着地のショックが鍵盤から伝わるのが少なく、Vスプリング型より弾き心地が良いです。

写真の横に真っ直ぐに伸びるスプリングが シュワンダー型と同じ反応をします。
8の字型の木部の下に斜めに在るスプリングがVスプリング型と同じ働きをし、素早くリピテンション(次の打弦)の準備を容易にさせます。(前の写真の方がよく解ります)

また 写真左側の緑のフェルトにかかる 針金は スタインウェイアクションと同じ形式で
打鍵後の 鍵盤の「着地」に 「マット」の柔らかさを感じさせます。
この部分を簡略化した、現行レンナー型(戦後・ハンブルグ・スタウィンウェイ)のアクションには一種の冷たさ「着地」が「床」になった感じがあります。


mson7.jpg
ハンマーも手作りであることが解ります(フェルトを止める針金も1つ1つが手作業で止めています)


mason2.jpg
今までに何回ファイリングされたのでしょうか。ハンマーウッドはマホガニー製でこれはSTEINWAYに倣っています。このウッドのテイルも手作業で削られて形を整えています。

現状でも、スタインウェイのフルコンサートグランド:D型の現行品のレンナー製のハンマーよりも大きなハンマーが着いています。毛足の長い良質のフェルトで密度が高いために熱処理をしていません。だからあと100年使える!? (現行品はフェルトの材質が酸性雨で悪くなり、それを硬化剤とアイロンの熱処理で固めていますので、こんなに長くは保ちません:私が以前使用した1933年製のハンブルグスタインウェイのA型のオリジナルのハンマーも熱処理がしていなくて大変良い音を出していたのを思い出します)

アメリカのプロの人達では 自宅では MASON&HAMLINを弾き、コンサートホールでは
 STEINWAY&SONSを弾く人が多いと聞いています。その理由は??



 そして その醸し出す 音にどんな違いが ?

 特にニューヨーク スタインウェイとの 比較では 音が太くて輝かしい音のスタインウェイの
 唯一の弱点は「微妙さに欠ける」ということだと思います。男性の(テナー)のオペラ歌手の様
 な強大で輝かしい響きをもっていますが微妙なニュアンスにやや乏しい.
 油絵的な対比のはっきりした色彩感・強弱の表現が得意。

 それに対して、メーソンアンドハムリンは、リート歌手の1つ1つの発音に微妙なニュアンス
 を含んだような繊細さも表現出来、それが「アメリカのベーセンドルファー」と呼ばれる所以でもあり
 水彩画的な表現も出来、リートも歌えるリリコソプラノのオペラ歌手ような感じでしょうか。
  鉄骨構造がほとんど似ていながら こだわりの部分の違いからくる表現力に差がでています。
 (専属で来て頂いている調律師に「85歳のおばあちゃんでしょうか?」と聞いたとき
  「いいえ!現役バリバリのギャルの音ですよ!!」といわれましたが・・・。)

 購入を決めたときは「これは ほとんど スタインウェイ(ハンブルグ)の音だ!」と思い
 指に吸い付く柔らかさのある繊細なタッチが気に入ったのですが、1926年製の Model:kの
 STEINWAY & SONS が届くと 弾き比べてみて 明らかな表現の差に 驚きを感じました。

 この時代の楽器 STEINWAYにはスタインウェイの絶対的な良さがあり
 Mason &Hamlin には メーソンアンド ハムリンにしか表現出来ない良さがある。

 他にも この1920年代の BECHSTEIN 8 や GROTRIAN-STEINWEG の 125や130も
 他の追従を許さない 何とも言えない 独自の表現の世界を築き上げている。 
 それそれが 1つ1つ 輝くカットの違う 宝石のような音の何とも美しい楽器である。
 
 
スタインウェイに鉄骨構造がこれだけ似ていながらも、醸し出す音には違い在ります。
スタンウェイのある種、天才的なまとめかたの良さが、在る程度の大量生産
(と言っても2000台~5000台ですが)での品質精度の求め方に・後から人間の介在する
部分があり、それが 単に「精度」と言う問題をも超えて「朗らかに鳴る楽器」を造りだして
居ると思います。スタインウェイを超える精度を持つ楽器は他に 沢山あります。しかし、
スタインウェイは STEINWAY でしか 創れないのです。

前工場長(?)の セオドア・スタインウェイ氏の 言葉に「ピアノの中音部~1つの音に対して
弦を3本張るのは「音に幅と艶を 持たせるためです。」また「どんなに正確に合わせようとしても
決して3本の弦は同じ音にはなりません、微妙に狂いを生ずるのです。(それがピアノです)」

避けられない狂いを 積極的に有効利用して平均率の調律で良く響くように設計されているのです。


日本の調律師はこの部分を解って居らず、「3本の弦を正確に合わせる」事のみ考え、音の固い
浸透性の悪い楽器にしがちです。楽器の本来持つ響きを殺してしまっています。


それに対して、メーソン アンド ハムリン や ベーゼンドルファー は 手作業の中で
可能な限りの精度を高めて生産されている楽器です。 その細やかさが スタインウェイにある
一種の「男性的な魅力」に 対して 「女性的な魅力に」 変えているように感じます。

mason & hamlin3.jpg

メーソンアンドハムリンの 中音部の弦の留め方や 独立アリコートの純粋性。
特許のテンションレゾネーターは音の持続性(サスティーン)と箱鳴りを助け、そして
微細な音の変化も拡大する音の波紋 万華鏡のようなシステムです。

ベーセンドルファーの全ての弦の1本留め・後付のカポ・ダストロ・バーはその精度では
明らかにスタインウェイを超えます。スプルース製の軽いボディーはやはり箱鳴りします。
しかし、その代償といっては変ですが、その楽器は「ある種の ひ弱さ」を含み持っている
のも事実です。




BECHSTEINから「総アグラフ」を取ってしまったのは残念です。
bech8-016.jpg
bech8-ag.jpg
BECHの総アグラフ(写真上方 チューニングピン・緑のクロスの次にみえる金色の真鍮製部品。
BECH用は独特の形状を有すため部品が割高になる。現行国産品に一種の流行ある「総アグラフ」の
部品は中国製で材質その他も違う。

NEW BECHSTEINは、スタインウェイが今回売却される際にハンブルグの技術者がベヒシュタインに移って造った楽器です。大切なDNAの一部が破壊されてしまったように感じます。どんなに造っても現行のスタインウェイの鳴りにも追いつけていません。室内楽・リート伴奏に向くと言われることが、20世紀初め一世を風靡した「世界一の」格を下げた評価だった訳でもありません。「今のはすべて今ひとつ」の感じです。特に韓国サミックに資本参入でつくられたシルバーラインシリーズはアクションもその部品精度も???の・・・製で「総ドイツ製」とは言えない代物です。

1897年製のBECHの B型 や 1880年代の まだ初代の生きていた頃のUPピアノの持つある種の軽さは、リストのピアノ曲を大変音楽的に表現しますし、「けばけばしさ」が全く感じられません。1960年代の初めの113cmの小型UPピアノからも、あれだけの音量・音色を出しました。それらに「総アグラフ」は絶対必要条件だったと感じます。


→http://jp.youtube.com/watch?v=3tAMbFMKdrI&feature=related でお聴きになれます






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Last updated  2008/11/12 03:25:45 PM
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