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思考の交通整理人の日記

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2005年06月12日
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カテゴリ:家族☆友人
先日タマのことを書いたが、その前後にコロとの出会いもあった。

前後と書いたのはその年は家の買い替え、親の病気、幼稚園の転園、下の息子の幼稚園選び、親の快気祝いの海外旅行と出来事がてんこ盛りの1年だったので実は詳しく憶えていない。これらは全て私の担当だった。

家を買い換えるために不動産会社勤務の友人のご主人にお願いしていた。
彼ら家族とは子どもも同年で仲が良く、以前から家族ぐるみのお付き合いをしていた。
だから私たちの好みや考え方も分かっているので、万事話が早かった。

その彼から良さそうな土地が出たという電話をもらった。
次の日曜日家族そろってワクワクしながら現場に向かった。
私たちの希望は四角い土地で日当たりの良い、水はけの良い所。
今回の前にも1件紹介があったが、そこは私たちの理想以上のところで少し小高い丘のような所にあった。緑の多い街並みだったので家族全員気に入り、即決だったのだか、売主の新居のローンが通らず引渡し日未定になり泣く泣く諦めた。

その件があったので、今回も期待していた。
ところが現場に来てみると、鰻の寝床のような長方形で裏に貯水池のようなものがあって湿気ぽい。低い土地なのでそんなに日当たり万全という土地でもない。
呆然としているとその彼が来てやはり呆然としている。
資料を見て電話で確認した時は相手の業者は正方形で日当たり抜群だと太鼓判を押していたとのこと。

皆がっくりしながら、でも一応売主とアポをとっているので話だけしてすぐに帰ろうということになった。
儀礼的に家を一回り見て帰ろうとしたら、庭の隅に犬小屋があるのに気がついた。
何となしに「犬を飼っていらっしゃるのですか」と質問したら、売主の奥様が急に暗い顔になって「次に引っ越すところはマンションなので犬が飼えないのです。親戚や友人にお願いしたのだけれどもう成犬(8才ぐらいだった)だから、なつかないという理由で飼い主が決まらない。このままだと保健所につれていくことになるでしょう」と言った。

子ども達は一斉にうちで飼おうとせがみ始めたが、猫なら即答できるが犬の場合は毎日散歩に連れて行かなくてはならないので、可哀相だけど責任が持てないなら買わない方が犬のためになる。
土地の件とあわせてその場で断ろうとしたが、業者の彼に明日電話で断る方が良いといわれ、保留ということにして帰った。

考えれば考えるほど飼うのは無理、私の負担が多くなるので責任が持てない。
この考えははっきりしているのに、何故だか気持ちがざわざわする。
一晩経ってもざわざわは治まらない。
家族は飼いたい気持ちで一杯だが、世話をする私が同意しなければ無理と言うことも分かっている。
全てはわたし次第と云うことだ。

それがプレッシャーになった訳ではない。出来ないものは出来ないのだから。
無い袖は振れない。
でもあの犬の目を思い出すと気持ちが泡立つ。
きゃんきゃんうるさく吼える訳ではないが、やはり犬なので吠えていた。
夜に吠えると近所迷惑になる。お隣は猫好きな良いご夫婦だけれど犬の鳴き声に寛大かどうか分からない。やはり無理だ。でも結論はとっくに出ているのに何かスッキリしないものがある。この堂々巡りであった。

返事を1日延ばしてもらい、考え続けた。
最終的には、希望の土地とは全く違うところに行ったのは、何か理由があったのではないだろうか。理由として考えられることは唯一つ。あの犬とご縁があるのではという結論になった。そうして飼う事を決めた。

その又次の日曜日犬を引き取りに行った。
犬はチビと言う名前だった。でも息子達がいきなりその場でコロと名づけた。
息子達が「コロ行くよ」というと「ワン」と吠えて車に乗り込んだ。
乗り込む直前、一瞬後ろを振り返って「く~ん」と奥さんに向かって鳴いたが、
すぐに後ろの座席に乗り込み1度も吠える事も暴れる事もなく自宅に帰った。

用意しておいた犬小屋に入れると最初落ち着かなさそうに出たり入ったりしていたが、エサを食べ小屋にダラーと寝そべって昼寝。
その夕方から散歩に連れて行ったが、全く暴れる事もなく良く言うことを聞く犬だった。面白がって人通りの無いところでリードを離してみたが、私たちから離れる事はなく一緒に歩いていた。そしてワザと少し後ろから「コロ」っと呼んでみると必ず振り返って止まった。

これには正直驚いた。やはり縁があった犬だったのか。
コロは無駄吠えのしないおとなしい犬だった。
否おとなしいと言うより思慮分別のある犬という感じを受けた。
時々遠くを見る様子などまるで哲学者のようだった。
近所の人達もコロちゃんは人間より色んなことを考えて人間界を分析してそうな顔しているわね。と口々に言っていた。
そして付いたあだ名が哲学者コロ。
やはりこの犬も十数年生きて天寿を全うした。

コロというと、すっと四つんばいでたって遠くをじっと見ている姿を思い出す。
あの当時犬語の翻訳機があったらと今でも残念でたまらない。





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最終更新日  2005年06月12日 12時34分44秒
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