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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2013.03.16
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カテゴリ:教育・大学
 政府は企業による大学生の採用活動の解禁時期を遅らせ、大学4年生の4月にするよう経済界に呼びかける方針だという。経団連は11年3月に倫理憲章を改定し解禁時期を3年生の10月から12月にした。これをさらに、4カ月後ろ倒しせよというわけだ。

 理由は学生が学業に専念する期間が延びるほか、海外で学ぶ留学生の就職活動の幅が広がるというもの。

 確かに、就職活動が始まると、学生は大学の勉強どころか遊ぶ時間も減らして企業の情報収集やエントリーシートの作成や面接の稽古に忙しい。同時に10社程度のエントリーシートを書き、10社の面接に動き、その会社の調査、勉強、就活塾への参加と大変なエネルギーの消耗である。

 もちろん、有名大学の学生や、そうでなくても中身が優秀な学生の場合は心配は少ない。就職氷河期と言われるときでも、2、3社受けただけで第一志望ないしそれに準ずる企業に内定するので、それほど忙しくはならない。

 問題は内定すれすれの学生で、こちらの方がずっと多い。それも10~20社で決まる人から50社でようやくという人、100社でもダメ……と分かれる。

 後に行くほどみじめな思いが募り、ストレスが高まり、人生に対する希望が薄れて行く。自分を全面的に否定されていることへの怒り、やるせなさは当事者にしかわかるまい。

 だから、学業に影響を及ぼすからというよりも、そういう気分でいる期間を減らしてやりたいという気持ちから、採用活動の解禁時期を4年生の春へと遅らせてやりたいとは思う。

 でも、就活期間が短くなれば、どこも入れず、留年して就職浪人というケースが増えかねない。留年する学生にとっては、就職活動の始まりが遅くなるだけで、就活のストレス期間は変らない。留年する分、社会に出るのが遅くなるデメリットも生ずる。

 もっとも、留年できるのは、多少なりとも親に資金的なゆとりがある学生で、資金的、時間的な余裕がなくて無名の中小企業に入らざるを得ないことも珍しくない。

 中小企業でも堅実な会社は多く、「最初は希望した大企業に入れず落胆したけれど、振り返ってて今の会社に入って良かった。自分に合っていた」という人は数多い。

 だから、多少不満でも、留年などせずに、堅実そうな会社なら無名でも小さくても就職した方がいい、とも言える。

 だが、寄らば大樹の陰というように、無名の中小企業は景気の好不況にほんろうされる危険が大きい。大手の取引先に生殺与奪の権を握られ、理不尽な要求に応じざるをえない営業活動を強いられる例も目立つ。
 
 最初は笑顔で迎えられ、いい会社と思っていたら、入ると大変なブラック企業で、手当ての付かない長時間のサービス残業を強いられる危険もある。

 こんな無理難題を引き受け、プライドを傷つけられ、苦労するくらいなら、留年しても一度希望していた会社を受ければ良かったと、後で悔やむこともあるだろう。

 先輩や知人からそんな話を聞くにつけ、「やはり名の通った大企業へ」と、就活に駆り立てられ、今日もエントリーシート書き、明日も面接と、ストレスは高まるばかり……。

 これが今の就活の実態だろう。4年生の春に遅らせても、この基本構造は変らない。

 残念ながら私に、学生を就活の苦悩から解放させる名案はない。1つ挙げれば、むしろ大学1年生の時から、自分がどんな会社のどんな仕事に向いているかを知るため、つてを頼って訪問活動を繰り返すことである。

 文科系の場合、特にそれが大切だ。理系だと電子工学、機械工学、化学、生命科学など、仕事の分野がかなり明確で、学校で学んでいるうちにおのずと就職先が絞られてくる。また、先輩がいろいろな会社にいるので、そこを訪問すれば大体わかる。内定率も概ね文科系より高い。

 また、有名大学生で4年から就職活動を始めても必ず入れるような人は、こんな活動をしなくても良いかも知れない。有力企業なら、今は何が向いているかわからなくても、入社してやっているうちに面白い仕事にぶつかることが多いからだ。

 だが、有名大学ではなく、それも文科系だと、理科系のように専門的な技術、学問がなく、対象の企業や職種が膨大だ。で、自分が取り組む方向を絞り込むために企業訪問を繰り返すのだ。

 自分を売り込むのではなく、相手を調べる。仕事の内容、仕事の面白さ、さらに給与、ボーナス、労働時間、有給休暇なども質問して調べればいい。そうすると、ブラック企業かどうかもだんだん、わかってくる。

 そんことをしていると、学業がおろそかになる?

 学問一筋で来たクソまじめな大学の教授が言いそうなことだ。

 はっきり言おう。理科系はともかく、今の時代、文科系の大学で学ぶことで、会社に入って直接役立つことはほとんどない。高校までの授業内容で十分だ。知らないことがあっても、書籍やネットで調べればほとんどわかる。

 然り、ごく一部の専門的な学者や研究者を希望する学生を除けば、仕事をする上で、文科系の大学に行く必要はないのだ。大卒という肩書きがないと、就職させない社会体制、習慣があるから、大学に行かなければならないだけだ。

 企業側でも大卒でないと、なぜ大学に行かなかったか、なぜ卒業しなかったかと、その人間をいろいろ調べなければならない。面倒だし、「大学→就職」という社会秩序に反旗を翻すアウトロー(反逆者)は採用したくない、という思いが働くので、大卒者でないと、就職には著しく不利だ。

 だから大学に行き、卒業証書という「日本社会の入会免許証」を入手する。ということは、大体、だれでも大なり小なり感じていることだろう。

 大学にいる間に多くの会社を訪問し、調べること自体が社会に入って行くための、生きた実学といえる。訪問しながら、その会社の属する産業の歴史と現状、将来を勉強すれば、さらに多くの実学が身につく。

 その過程で自分が何をしたいのかもだんだん絞られて、わかってくる。絞られなくても、世の中に多種多様な仕事がいろいろあることがわかり、面白い体験をすることだろう。

 訪問しているうちに、その会社に入りたくなったり、自分を気に入って就職を呼びかけてくれることがあるかも知れない。

 それほどうまく行かなくても、会社訪問・調査活動自体がエントリーシート作成や面接に大いに役立つことだろう。会社を訪問しようと思って実行に移すだけで、すでに就活で1歩も2歩前進していると言える。いかがだろう?

  

  







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Last updated  2013.03.16 22:27:06
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