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鎌倉橋残日録  ~井本省吾のOB記者日誌~

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2014.08.28
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カテゴリ:教育・大学

日本経済新聞27日付け朝刊のコラム「春秋」がこう書いていた。

〈▼東京大学の入試では0.0001点の差で運命が分かれることがある。センター試験の成績を圧縮して2次試験と合計するから、小数点以下の世界に当落すれすれの秀才英才がひしめくのだ。ちなみに今春の文科1類(前期)の合格最低点は332.7444点である〉

〈▼ということは332.7443点の受験生は涙をのんだことになる。そこには究極の公平さがあるが、人間の能力をみるモノサシとしてはいささか安易だろう。そんな声を背に、昨今は入試改革の動きが慌ただしい。センター試験に代わる「達成度テスト」では受験機会を複数化し、成績は段階別の表示にとどめるそうだ〉

〈▼くだんの東大も2016年度から推薦入試枠を設けるというから、多様な尺度でおもしろい学生を見いだす動きは本物かもしれない〉

「AだけどBだ」というと、AとBの双方をバランス良く評価しているようだが、実はBの方を重点的に評価し、Aの評価は低める言い方になる。
上記の場合、「そこには究極の公平さがあるが、人間の能力をみるモノサシとしてはいささか安易だろう」は典型例だ。ペーパーテストのわずかな差で人を評価していいのか、という昔ながらの入試批判である。

で、東大も推薦入試など多様な尺度で人を評価すると言う。コラム担当者は「それでおもしろい学生を見いだす動きは本物かもしれない」と、東大の入試変更を評価する。
だが、そうだろうか。STAP細胞事件を起こした小保方晴子氏はAO入試という一芸評価方式で早稲田大学に合格し、入学した。そのため、論文の書き方など基礎的な学力に問題があり、それが事件につながったとも言われている。

1点を争うペーパーテストは学生に基礎学力を修得させるという効果があるのだ。AO入試ならまだしも推薦入学がふえてくると、学生の学力修得がおろそかになる危険が高まると批判されている。また、公平だから(公平ならば)、1点で不合格になってもあきらめがつく。スポーツの世界では100メートル0.0秒差、幅跳び1センチ差で負けることは良くある。

「筆記試験が人間の能力をみるモノサシとして限界がある」という点に異論はない。だから、学校関係者はその点をまず、きちんと学生にも世間にも認識させる必要がある。
東大に合格しても、その限りにすぎないということをはっきりさせる。とりわけ1点差の当落線上の学生などほとんど学力差などないのだということを。

それでも東大か、それ以外かで、世間は大きな格差をつける。「わずか1点でそんなに格差をつけるのは不当だ」という批判や不合格者(とその関係者)の不満はもっともである。

だが、それがブランドなのである。衣食住全般にわたって一度ブランドを確立すると容易に崩れない。だから、人々はブランド確立に精を出し、また、そうしたブランド企業に入社できるように努力し、そのブランドの製品を買いに行く。

一方で、実際の世界ではブランドにあぐらをかいて努力を怠れば、その企業は衰退し、ブランド大卒の学生も出世街道からはずされる。

然り、ブランド大学はその程度のものなのだ。ということを教師も学校関係者も良く学生やその親に教えることが肝心だ。東大などのブランド大学に入らずとも、いや、そもそも大学などに行かなくとも、実業の技術を身につければ十分に社会で評価され、成功の道が開かれていると。実際、世間を見渡せば、そうではないか。
 
この点で、日経の春秋の最後のくだりには賛成である。

〈▼ペーパーテストの成績は子どもの能力の大きな指標だが、決してそれがすべてではない。当たり前の事実に気づいて大学入試改革は進むけれど、点数なるものへの世の中の意識にはなかなかしぶといものがある。こんどの学力テストの正答率はA校よりB校が0.0001%リード、などという話が出てこなければいいが〉

0.01点差などにこだわるのはくだらない。それを前提に「しかし、筆記試験が一番公平で、しかも学生の学力修得にとっても望ましい方法なのだ」というべきだろう。そして、教師は学力修得に役立つ優れた試験問題の作成に努力すべきだ。

重箱の隅をつつくような科学や歴史や地理や語学の知識を問う試験を作るべきでないし、こねくりまわしたような数学の難問を用意すべきだはない。それらは学生を育てるのではなく、苦しめ、余計な知識の修得に無駄な労力を割くことを強いるからだ。





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Last updated  2014.08.29 00:57:47
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