バリデーション考・「言うことを聞く」と「事実と認める」は違う!
NHK総合「生活ホットモーニング」で「バリデーション」という言葉を知りました。観察してみると、どうもコーチングで使うスキルと、かなり共通する部分がありそう。ちなみに公認日本バリデーション協会ホームページによると、バリデーションとは認知症のある人に心から共感し、寄り添うことによってその人自身を理解し、介護者自身も豊かになるという超コミュニケーション法らしい。実際に見た番組では、介護施設の職員が、今までは…困ったことを言う人を、なだめたり、時には嘘をついたりして、介護が円滑にいくよう対処していた。バリデーションを使うと…そういう人の言うことを、まずとことん聞いて、共感する。視覚や聴覚が衰えている人も多いので、肌で触れ合って安心させる。ということをやっていた。それでも事実と違うことを言い続けて、実際には存在しない状況を「ある」と言い、「それを変えて欲しい」と言ってきかない人に、どう対処するか、職員の方が悩む姿が映されていた。「相手の言うことをきく」=「相手の言い分を事実と認めること」?すると、「相手を1人の人間として尊重し、うそをつかない」という基本方針と矛盾する。…そう悩んでいらしたのです。ここで、声を大にして言いたい!…全国のコーチの皆さん、ぜひご一緒に!「相手の言うことを聞く」 と 「相手の言い分を事実と認める」は、イコールじゃありませんっ!!…ぜえぜえ。解説します。相手が、「これはAだ」と言いました。…現実には、これはAじゃなくて、Bだったとします。このとき、「相手の言うことを聞く」にはどうするか?簡単です。文字通り、「相手の言うこと」 を 「聞けばいい」 のです。つまり、「相手の言うこと」=「これはAだ」「聞く」=耳を傾けて、「相手の言うこと」=「相手の言っている事実」を、そのまま受け止める。 「相手が『これはAだ』と言っている」現実を、実際に起こったこととして、受け止めるのです。「これはAだ」という言い分を、そのまま認める必要は、全然ないんですよ。これは、実際に試してみれば、すぐわかります。相手「これはAだ」自分「これはAだと思ったんですね」相手の方が、「これはA」だと思うのは、自由でしょう?「これはAじゃないと思う」と言わなくてはならないのは、他に害が及ぶときです。その時でも、いったん「Aだと思ったんですね」と受けとめることは必要です。「相手の言うことを聞く」ことで、何が得られるのか?ひっくり返せば、「自分の言い分を聞いてもらう」ことで、どんないいことがあるのか?…「言うことを聞いてくれる相手がいる」だけで、どんなにうれしいか。私は、数日前のブログに書きました。何も賛成したり、反対してくれなくてもいいんです。ただ、聞いてくれるだけでいいんです。いったん聞いてくれたら、そのあと相手がどう思おうと、とにかく後の話。極端に言えば「私には関係がない」のです。最初はとにかく、私の言い分を聞いてほしいんです!…わかっていただけましたか???相手にとっての真実と、私にとっての真実は、たいてい違う。だから、相手がAだと言っても、私にはBかもしれない。このケースでは事実、そうなんですよね。よく考えたら、よくあることじゃありません?ですから…介護施設のみなさ~ん!!!悩まないでください!応援してます!がんばってくださいっっっ!!!