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July 26, 2006
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カテゴリ:ボランティア
私がこれまで考えていたボランティアの概念を根本的にひっくり返すような衝撃的なイベントに出会いました。 今でも、自分の考えをまとめることができません。感じたことをつらつらとここに残したいと思います。

それは「ドッグレッグス」という障害者プロレスを観にいった時のことでした。友人に誘われて観にいったのですが、それは身体・知的障害をもつ方々がプロレスをする、というもの。同程度の障害を持つレスラー同士、あるいは健常者と障害者が対戦し、手や足、頭突きを使って相手を負かそうとします。

なぜこの「ドッグレッグス」という障害者プロレス団体があるのか、ということを知らないまま全く無知の状態でみたこのプロレス、障害者達がお互い死ぬ気で戦うのを見て、そんな状態を健常者の我々が観戦することが、果たして道徳的に良いことなのか悪いことなのか、試合の間中、私の頭の中は混乱の極みです。

一緒に観戦した何人かの友人は、「見るに耐えない。」「障害者を見世物にしているようで辛い」「受け入れられない。」という正直な感想を言っています。そう思う気持ちもよくわかります。

意味不明の言葉を叫びながら、麻痺した足を引きずって不自由な手で相手を殴り、首を絞めて技をかける障害者達。それを面白おかしく実況中継するボランティア解説者たち。それを見て時に歓声をあげ、時に拍手を送る私たち観客(主に健常者)。 

「なぜここまでするの?」と思う一方、「ただの見世物ではないはず」という根拠のない確信と主催者の深いメッセージを読み取りたいと思う。いったいこのドッグレッグスを通じて、何を伝えたいのだろう? ボランティアって何なんだろう? 障害者ってなんだろう? と考えます。

そして私がこれまで認識し、自分でも取り組んできたハンディキャップを持つ方々へのボランティアとは、本当に彼らの立場に立って行えたのだろうか? ただの自己満足に過ぎないものだったのではないか? と反省とともに考えるのです。私はこれまでボランティアというものをあまりに美化しすぎていたのではないのか? 都合のいいようにしか解釈していなかったのではないか?

「体が不自由でも心は透明で一生懸命生きている」人たち、というような美しい言葉でくくるのではなく、そんな方々の役に立ちたいという、きれいごとで終わらせるのではなく、目を背けてはならない現実があるのではないでしょうか? 今の自分ができること、これから自分がすべきことって何なのでしょう? もっと目を向けるべき大きな問題がこの社会にはあるとしたらそれは何なのでしょう?

プロレス団体の北島氏は著作「無敵のハンディキャップ」の中で、健常者と障害者はそもそも違うのだ、という現実から目を背けてはいけないのだ、と述べています。 健常者に障害者の苦労や気持ちは所詮理解し得ないということを認識することなのかもしれません。それでも、障害者と真剣に向き合い、真剣に付き合おうと苦しむ過程にあるのが、真のボランティアの一つなのかもしれません。 そしてもしプロレスが障害者達にとって自分を表現する手段の一つであるならば、お互いが死ぬ気で真剣に戦う場を提供することも、一つのボランティアといえるでしょう。あるいはプロレスを通じ、真剣に戦いを挑んでくる障害者に対して、健常者が手を抜かずに全力で戦いをすることであったりするのかもしれません。そして実はそんな真剣な付き合いをするために苦しみ努力することが、一番障害者が望んでいることかもしれません。そしてそれは健常者・障害者の垣根など全くない、人間同士の本当の付き合いで、もはやボランティアではないのかもしれません。 目を覆いたくなるような生々しい障害者同士のプロレスを無知(あるいは無関心)な健常者に見せ、障害者とのかかわりについて考えさせる機会を与えることも一つのボランティアでしょう。

そんな簡単に結論できるほど単純なものではないはずなのです。このテーマについて、「ドッグレッグス」について、考え続けたいと思います。自分なりに考えるために、これからも「ドッグレッグス」に関わっていきたいと思います。

ドッグレッグスに誘ってくれたTさん、本当にありがとう。私のこれからのボランティア観に大きな大きな影響を与えてくれました。 

北島行徳氏著 「無敵のハンディキャップ」(文春文庫) ご興味を持った方はぜひ。





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Last updated  July 26, 2006 07:05:49 PM
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