2024/02/21(水)09:04
映画「夜明けのすべて」
先日、友人と観た映画「夜明けのすべて」について書いておこう。
「夜明けのすべて」
人は誰でも、それぞれに様々な状況や課題や困難を抱えながら、精一杯生きている。
そのことは、多くの人と出会いながら生きている者の実感だ。
この映画の主人公も、PMS(月経前症候群)やパニック障害、家族の自死による辛さの長期的持続など、それぞれに辛いものを抱えている。
多くの人がそうだろうが、そのような自分の事情はなかなか他人には話せないものだ。
というよりは、そのような自分の状態を知られないようにしている人が多いだろう。
自分の力で何とかしようとすればするほど、状況は良くない方向に行ってしまう。
その結果、仕事を続けられなくなったり、
生活のために条件も悪く好きではないと思ってきた仕事をするしかなくなることもあるだろう。
この映画の登場人物たちも、そんな鬱屈した気持ちを抱えながらの日々を過ごしている。
そんな日常を丁寧に描いていくことで、
人それぞれの凸凹はさりげなく埋め合い支え合うことで成り立っているのだということが実感できてゆく。
ドラマティックなことがあるわけではないが、ささやかな思いやりや優しさで
人は少しずつ変化したり良い関係になるものだということが伝わってくる。
男女の主人公というと、すぐに愛や恋につながったり、変な勘ぐりが始まったりしがちだが、
このドラマにはそれがないのも心地よかった。
性が違っても、友達、仲間、先輩後輩、家族や親族など、
性に囚われない普通の関係で成り立っていることがほとんどだ。
それぞれの関係性の中で、理解し合ったり協力し合う部分は少しずつ違うだろうし、
それぞれの関係で見せ合う部分も違ってくる。
だから、一人の人間を全部理解しようとすることは土台無理なことだし、
誰かを自分が助けたり支えたりすることも傲慢なことだろう。
だからこそ、節度ある距離感の中で付き合うことがいいのだと思っている。
そんな意味で、心から共感できて心が温まる映画だった。
一緒に行った友人が「このような職場は中小企業だからかもね」と言った。
そうかもしれない。
色々な意味で、日本の中小企業は日本社会を支えているのだろう。
大切にしてほしいと強く願う。
こんな映画がもっと増えたらいいなと思う。
本編上映前の予告映画は、何だか殺伐としたものが多くて、次に見たいと思うものは少なかった。
「ドラえもん のび太の地球交響楽」くらいかな。
ドラえもんはいい漫画だとは思っているが、私の世代で見たい映画となるかどうかはよくわからない。