2017/12/17(日)19:46
理想的とは言えなくて - ボニー・ガル -
生物の原理を応用した開発、バイオミメティクス(生体模倣)を近年、盛んです。
以前のオリンピックで使われた「サメ肌水着」もバイオミメティクスの一例です。
サメ肌水着では、サメ肌上に水着の表面に凹凸を付けました。
サメ肌状にすると、水の抵抗が小さくなりスピードが出るからでした。
しかし、生物の真似が、常に成功するとは限りません。
カモメの翼をまねした飛行機、ボニー・ガルも失敗例のひとつです。
ライト兄弟飛行から20年以上、1928年と言えば既に飛行に適した翼形状は周知でした。
その時代に、「理想の翼形状は鳥の翼」と主張する技術者がいました。
それがアメリカのレオナード・ヴォーデン・ボニーでした。
ボニーはカモメの翼を研究し、独自の飛行機を作りあげました。
それが下の画像の「ボニー・ガル」です。
背面から見ると、まさに鳥の尾の形をしています。
※画像出典: http://www.stickandtissue.com/
ボニー・ガルは、鳥の様に羽ばたくことはできません。
しかし、翼は角度を変えたり、折り畳んだりできました。
1928年5月4日、周囲の制止を聴かず、ボニーはボニー・ガルの飛行を試みました。
離陸間もなく、ボニー・ガルの尾翼は左右に揺れ、制御不能となりました。
ボニー・ガルは高度30mから落下して、操縦していたボニーも帰らぬ人となりました。
ボニーは翼の角度を変えてブレーキをかければ、短距離着陸も可能と主張していました。
残念ながら、それは試されることはありませんでしたが。
生物の模倣が正しいとは限りません。
生物の体はしばしば理不尽で、非合理的な構造をしています。
その理不尽な構造を、生物は器用に操っているのです。
鳥の翼を過信しすぎたボニーは命を落としました。
そして、その後、鳥の翼を真似た飛行機が、世界の空を飛ぶことはありませんでした。