カテゴリ:第三章 188 ~ 240 話
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二十三房に場を移した一同。 中央を広く空け、囲むように修行僧らが囲む。 館長と師範は上座に位置する場所に着座し、そして向かい合わせの反対側の位置にザウバー があぐらを組んで座っている。 金と赤の羽織物を着た小さい坊さんは、館長の斜め後ろにちょこんと座っている。 その中央では、まずは付添いの戦闘員とスンチャが向かい合っていた。 二十三房長 「これから他流試合の[試武]をとり行う。 くれぐれも相手に危害を加えない程度にお願い申し上げる。」 戦闘員 ( ふん、こいつらの腕前は知れているとこだ。 あっと言う間に沈めてやるよ・・・ ) スンチャ ( 再び異人相手か。 ナンチャンがこっそりと教えてくれて助かったぜ。 その後の修行の成果を試すチャンスだ・・・・。 ) 隣の房との間にある垣根の、向こう側から二十三房の様子を伺う二人の姿も。 ゆうすけ ( しっかりと頼むぜ、スンチャ。 ) 利江 ( ここでザウバーが戦う姿が見れるなんて・・・・ ) この二人の元へ、スウランが歩みよってきた。 小声で、 スウラン 「スウラン、ゆうすけの側で見る。」 ゆうすけ 「スウランか。 あの真ん中に立っているやつ。 ありゃレベル-1だぜ。」 スウラン 「異人ってことか。」 ゆうすけ 「たぶんな。 その後ろに座っているやつが連れてきたからだ。 その座っているやつ。 あいつがザウバーと言ってレベルー3なのさ。」 スウラン 「あいつはレベル-3か・・・」 ザウバー 「堅い前置きはいいから早く始めてくれっ! 長くは掛からねぇからよ。」 二十三房長 「うむむ・・・・ では、始めっ! 」 スンチャは始まりの掛け声と供に、拳をギュっと握る。 そして六合拳の拳套の動きを始めた。 ハィ ビュっ ハイハイ ザッザッ、 ハァ~~ 戦闘員は慌てて飛び掛らず、スンチャの拳套の動きをしっかりと見定めている。 その力強い拳套、一般の修行僧を卒業し更に こういちにレベル-1対策を指導して もらった第一号者らしく とても力強く、見る者を圧倒させる。 戦闘員 ( こ、こいつの六合拳、只者ではない・・・くっ・・・ ) ザッ、ビュっビュっ ハイっ さっ 手套を前にかざして動きを止めたスンチャ、キツく戦闘員をにらみつける。 戦闘員 ( このぉ・・・・ ) 戦闘員、スンチャの力強い拳套を目の当たりにしても気落ちせず、 スペックー1能力全開で襲いかかったっ! 『 オーーーリャーーーッ! 』 シュっ さっ、 シュシュっ ガシっさっ 全開のスペックー1、その素早い動作に 周りを囲む見学の修行僧から驚きの 声が漏れていた。 『すげー』 『なんて速さだ・・・・』 ところが、 その動作に機敏に反応し、一つ一つを丁寧に避けるスンチャの姿があった。 スンチャ ( ひとつ、ふたつみっつ・・・・フンっ よっつ・・・・ ) 紙一重で交わし そしてまた交わし、時折受け流すことも行っていた。 そして、 スンチャ ( 今だっ! ) ハイヤーっ! ズカっ★ 戦闘員 「うぉっ」 勢いよく伸ばした掌が、戦闘員の胸にヒットっ! 戦闘員は後方に転げてしまう。 打ち抜いた掌の姿勢のまま、転げた戦闘員を見据えるスンチャ。 『おぉぉ』 修行僧から、先程とは違った驚きの声が洩れる。 スウラン 「スンチャ、カッコいい。」 利江 「すごいわっ♪」 スンチャ 「うん、動きが良く見えるぜ。 練習と変わらない♪」 手ごたえを掴んだスンチャ。 それとは対象的なのが戦闘員。 胸に手を当ててのっそりと立ち上がった。 戦闘員 「こ、こいつ早え・・・く、くそ・・・・」 そして、再び立ち向かうも、 シュシュっ ガシっさっ シュっ さっ、 スンチャ ( ひとつふたつ、フン!みっつ・・・・よっつ・・・・ ) スウラン ( ひとつ、ふたつ、 みっつ・・・・よっつ・・・・ ) スンチャ 「ハイーーっ!」 ズカっ 戦闘員 「ぐわっ」 勢いよく伸ばした掌が、戦闘員の胸に再びヒットっ! 戦闘員は再度後方に転げてしまう。 打ち抜いた掌の姿勢のまま、またまた転げた戦闘員を見据えるスンチャ。 『おぉぉ』 かすかにニヤリとスンチャの唇が動いた。 なんとスウラン、その場に立ち上がり戦闘員の動きに合わせて 避け方、 受け方を自分なりにイメージし数えながら小さい動作で動いていたのだった。 ゆうすけ 「見ているだけでは物足りないみたいだな ^ ^; 」 スウラン 「折角の本物。 見てるだけ、もったいない。 ほらあそこ。。。同じ考えね。。。」 スウランの指差す先には、なんとクンナとチュウランが 右手をおでこの少し上、 腰は低く右足は伸ばしており 左足は膝をまげて相手側のそばに、そして左手は掌 の状態 で前に打ち抜いてスンチャと同じポーズで止まっているではないか! 利江 「みなさん勉強熱心なのね。。。」 ゆうすけ 「そこまで避け方と受け流し、そして打ち込むタイミングが同じになるもんか?」 スウラン 「基本避ける。 間に合わない受け流す。 スキある打つ。 同じはまぐれ、でも似た動きなる多い。」 ゆうすけ 「ってことは、チーランも・・・・・」 辺りをキョロキョロと探すゆうすけ。 ふと後ろの気配を感じ、振り向くと・・・・・ 利江 「やだ、チーランさんまで。。。」 隣のガラ空きの房の真ん中で・・・・ あはは、これまた同じポーズ で止まっていたチーランであった。 (確かに人骨に見えるな) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月18日 16時58分35秒
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