新たなる旅立ち
旅立つのは私ではない。ちょっとした知り合いである。彼は会社で随分と村八分状態が続いていた。でも持ち前の明るさとパワーでやってきていた。会社はワンマン経営。イエスマンしか必要としていない中、彼は一人意気をはいていた。彼の取ってきた仕事は先輩や専務の息子などに奪われた。飲み会など、彼だけ声がかからない。それでも彼は仕事が好きで続けていた。先週末、前からうるさく彼に言っていた取り巻きの一人、子会社の事務員と口論となった。昨日、上に呼ばれ、数人に囲まれ追及が始まった。会社のしている違反行為を外部から指摘があったようで、それを彼が漏らしたのだろうとの追求。実際、いくつも外部にいえないようなことをしているらしい。が、彼は外部に漏らしていないらしい。結局、「懲戒免職ということで辞めてくれ」といわれた。が、彼が懲戒免職処分に当たる行為を行ったという証拠はないし、本人も否定しているので『懲戒免職』というのはおかしいとしばらくして思ったらしい。「自主退社ということで。明日から来なくていいから。」とのことだった。彼は会社に見切りをつけ、今月中に寮を出て実家に帰る。実家の方で仕事を手伝うらしい。以前、同じように上とトラブルあった際に「辞める時は内部告発して専務をつぶしてやる!」って息巻いていたのだが、そんな気もうせたらしい。とにかくもう二度と関わりたくないらしい。そういうものだろうか・・・証拠もいくつも掴んでいるわけだから、その会社のためにも周りの会社や人の為にも少し戦ってはどうなのだろうって私なんかは思う。一度、彼も匿名で業界紙に投稿したようだ。その際、やはり外部から指摘され、上は少し参っていたらしい。どうなのだろう。何の関係もない私がとやかく言うことではないのだが、人伝に聞いてしまい、少なからず心が落ち着かない。自分の会社もやはり思っていたものとは違い、人を大事にしないという根本的な過ちをしている。先行き不安な要素を沢山含んでいる。ま、全て選ぶのは自分だからね。(彼のことにしても自分のことにしても)何度か一緒に飲んだり、話をした事のある人だから、彼がこの経験を糧に、更に素敵に、更に豊かな人生を歩んでいってくれたらなって思う。