住宅内でカビの発生しやすい箇所は、建物の立地条件(地域、方位、階層など)や室の用途など
様々なものが関係してきます。
ここでは一般的な住宅における室の用途および部位ごとに発生理由を述べていきます。
又、生活の中で使用しているものでカビの発生しやすい主なものについても述べていきます。
■ 台所
水廻りというように水やお湯を頻繁に使用するので常に湿気を伴う場所になります。
まず、調理時にガスを燃焼すると水蒸気が発生します。又、調理中のもの(煮物など)から
も水蒸気は発生します。
さらに調理時の火熱により空気温度も上昇し、水蒸気を多分に含んだ空気になります。
この結果、湿度が高くなり、キッチン周りにはカビの栄養源が多々あるのでカビの発生が
頻発することになります。
■ 浴室、脱衣室
一般的に北側にあり、使用目的からしても大量に水やお湯を使用する場所なので、閉め切っ
た状態で換気を怠り、浴室使用後に十分乾燥させないとカビの発生を容易にします。
又、入浴や洗顔時に生じる垢(体の汚れ)や石けん水がカビの栄養源となり繁殖を促します。
タイルの目地にカビがよく生えるのは、入浴の際に生じる垢や石けんが飛び散り付着し、セメ
ントに染み込むからです。
セメントはアルカリ性なので本来はカビがつきにくいのですが、入浴中のお湯がセメントのアル
カリ分を流失し、そこに垢や石けんが付着し、それを栄養にしてカビが生えることになります。
↓ 風呂場のタイル目地
脱衣室は、浴室の湿気が流れ込み住居内の他の場所よりも湿度が高くなりカビが生えやすく
なります。
■ 洗面所
浴室に隣接している場合、浴室から多量の水蒸気が発生するために結露が生じます。
浴室同様に洗顔などで水やお湯を使用する場所なので閉め切った状態で換気を怠り、使用
後に十分乾燥させないとカビの発生を容易にします。
又、洗顔時に生じる垢(体の汚れ)や石けん水がカビの栄養源となり繁殖を促します。
■ 便所
便器には常に水が張られているために、湿度が高くなりやすく、又、温度も居室よりも低くなっ
ているために結露を起こしやすいのでカビが生えやすくなります。
↓ トイレのサッシ
■ 壁面
日の当たりにくい北側の壁にカビは生じやすくなります。
又、壁と壁が合わさる入隅部は平面部より、空気がよどみやすくカビが発生しやすく
なります。
室温は天井面に近いところが高く、室温の低くなる床面に近い部分ほど低くなるので、床面に
近い部分から結露が始まり、徐々に他の部分に広がっていきます。
■ 家具などの裏側
家具の裏側の壁に面した部分は室内の他の部分よりも温度が低くなりやすく、換気もなされ
にくいため結露が生じやすい。
特に北側や東・西側の外壁に面した壁に沿って家具を置くときはその傾向が大きい。
■ 押入
押入は北側や日光の当たりにくい家の中央部に設置されることが多く、温度が低く、通風も
悪いので高湿度になりやすい。
さらに押入の内部では、そこに室内側から入った空気が冷やされたり、押入の中の布団などに
含まれる水分が原因となり結露が生じます。
壁の入隅部と同様、押入下段に初期にカビが発生します。
■ 下駄箱
下駄箱の内部では、そこに室内側から入った空気が冷やされたり、人の足の汗を吸収した
靴などに含まれる水分が原因となり結露が生じやすく、カビが発生します。
■ サッシ
室内側で表面温度が一番低いので結露を起こしやすく、サッシ溜まった埃やチリ、手垢などが
つくことでカビが発生します。
↓ サッシ
・洗濯機
石せんや洗剤を使うとき、水に溶けない残りカスが洗濯機の中に溜まりやすく、カビはこの
カスや汚れを餌にして発生します。
※ 洗濯機の中のカビ、洗濯機の中に溜まる石けんや洗剤のカスについては「洗濯機(仮
称)」の項でもう少し詳しく述べていきます。
・寝具
梅雨など雨が続いた場合、布団を干せない状態が長く続くので空気中の湿気を吸います。
又、睡眠中に自分の汗で湿る場合、逆に自分の体温で布団を乾かすこともあります。そこで
人の汗や汚れ、皮脂などが栄養分となり、カビやダ二の温床になります。
さらに汗の染み込んだ寝具類をそのまま押入れなどにしまうと、カビやダニの原因になり
ます。
・衣類
衣類の素材には、綿や絹などのようにタンパク質を含むものが多くあり、カビの栄養となりえ
ます。
さらに汗や食べこぼしなどの汚れがついている場合、これらもカビの栄養となり、汚れたまま
仕舞い込んでいた衣類にカビが発生します。