壁紙には主素材以外に、様々な添加物が添加されています。
では、一体どのような添加剤があるのでしょうか?
■ 可塑剤
塩化ビニール壁紙の場合、塩化ビニール単体では硬くて柔軟性がありません。そこで分子量が
小さい可塑剤を、分子量が大きな塩化ビニールに添加することにより、ベアリングのようなはた
らきをして柔らかくしています。
年数を経て硬くなってしまった壁紙などは、この可塑剤が揮発してなくなったためと考えられま
す。
又、よく塩化ビニールで覆ってある丸イスでは、いつのまにか覆ってあるカバーが端から破れま
すが、これは可塑剤が蒸発してやせ細り、破れる端の部分は張力が一番かかるから破れると
考えられます。
※ ビニルクロス以外の壁紙であれば可塑剤の問題はまずありません。
【主な可塑剤】
・フタル酸ジ‐2‐エチルへキシル(DEHP)
・フタル酸ジイソノニル(DINP)
・フタル酸ジオクチル(DOP)
・フタル酸ジメチル(DMP)
・フタル酸ジエチル(DEP)
・フタル酸ブチルベンジル(BBP)
・リン酸トリクレジル(TCP)
・アジピン酸エステル類
この中でも特に使用されているのが、DEHPとDINPですが、他の揮発性有機化合物と比較
して沸点が高いので、放散量は少ないとは考えられます。
■ 抗カビ剤、防カビ剤
カビの繁殖を抑えるために、農薬の殺菌剤や除草剤の成分がそのまま住宅内に使用されてい
ることもあります。
カビは壁表面の汚れや、裏面の糊料を餌として繁殖するので、表裏両面に防カビ剤が使用され
ます。
又、効果を持続させるために、数種類の薬剤を同時に使用することもよくあります。
【主な抗カビ・防カビ剤】
・チアベンダゾール(TBZ)
・オルトフェニルフェノール(OPP)
・イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
■ 安定剤
これは、塩化ビニルが熱や光で分解(熱分解)されたり、変色してしまうのを防ぐはたらきを
します。
【主な安定剤】
・有機鉛系
・有機スズ系
・カドミウムなど金属系
■ 発泡剤
これは、厚みと断熱性を持たせるために添加されます。
【主な発泡剤】
大きく2種類に分類されます。
膨らし粉のように合成樹脂を膨張させる
・アゾジカルボンアミド(ADCA)
・4,4'‐オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)
・α,α,‐アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
・N,N'‐ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)
高圧ガスでプラスチックを膨張させるもの
・低沸点炭化水素
■ 難燃剤
【主な難燃剤】
・リン酸トリス(2-クロロエチル)(TCEP)
・リン酸トリブチル(TBP)
■ 着色剤
【主な着色剤】
・酸化チタン
このように主素材に様々な添加剤が添加され、壁紙という製品になります。