再出発日記

2019/02/20(水)10:45

「高倉健・藤純子の任侠映画と日本情念」

読書(ノンフィクション12~)(911)

「高倉健・藤純子の任侠映画と日本情念」山本哲士 E.H.E.S.C.(文化科学高等研究院) 限定400部の、しかもAB変形の大判の本。おそらく、高倉健・藤純子解説書では最も詳しい本のひとつではないかと思う。1960年代の任侠映画については、総てのセリフは流石に無いが、主要な作品のひとつひとつの物語と解説と分析がついている。もちろん、資料的な本では無いから、出演者やスタッフのデータはあまり書かれていない。しかし、著者の気になる場面の分析は、豊富な場面写真と共に付されていて、資料的価値はあるだろう。 一言で言えば、当時の新左翼系の学生が、なぜ任侠映画をあれほどまでに「支持した」のか、その思想的分析をしてみようという、著者の 思い入れたっぷり詰まった378pなのである。1人の哲学徒が、映画の中の「情念」の止揚に何を観たか、一生懸命書いている。 と、ここまで書いてはっきり言うが、正直私にはどうでもいい。80年代に、学生運動の残滓に迷惑蒙った者として、70年代の学生運動を誠実に総括してこなかった世代の呟きに、付き合う義理は無い。だから、この本の資料的な価値だけを認めるだろう。 2019年2月読了

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