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2019年02月22日
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「民主主義」文部省著 角川文庫

昭和23年に書かれた中高校生向けの教科書。「新しい憲法のはなし」の三倍以上の分量はあるが、現代の選挙権を持とうとしている高校生に読ませたい、いや現代の大人に読ませたい示唆に富む文章が多々ある。解説者が内田樹で、主たる問題点を正当に補っているのも良い。戦中には、こんなにも真の知識人たちが隠れていたのか!と感動する。

紹介したい所。
・民主主義制度に対する歴史的な批判は、主に二つ。「衆愚政治になる」「個人主義で統一が乱れる」だ。前者に対しては「人間は神ではない。だから、人間の考えには、どんな場合にもまちがいはありうる。しかし、人間の理性の強みは、誤りに陥っても、それを改めることができるという点にある。しかるに、独裁主義は、失敗を犯すと、必ずこれを隠そうとする。理性を持ってこれを批判しようとする声を、権力を用いて封殺してしまう」。後者に関しては「民主主義は、個人を尊び、個人の自由を重んじる。けれども民主主義の立場は、正しい意味での個人主義であって、決して利己主義ではない。できるだけ多くの個人の、できるだけ大きな幸福を実現しようとする民主主義の精神は、おのれひとりの利益だけを求めて、他人の運命を歯牙にも掛けぬ利己主義とは、正反対である。」(251-258p)
・経済民主主義の実現を図るうえからいって、労働組合の健全でかつ建設的な政治活動に期待すべきものは、きわめて大きい。(242p)
・民主主義を単なる政治のやり方だと思うのは、まちがいである。民主主義の根本は、もっと深いところにある。それは、みんなの心の中にある。すべての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心、それが民主主義の根本精神である。(3p)(←内田樹は「制度ではなく、心だ」と断定してしまうと、カントもプラトンも「違う」と言うだろうという。しかし、内田は日本思想の民主主義精神の「連続性を顕彰し」たかったのだと擁護する。460p)
・イギリスではマグナカルタ(1215)によって民主主義の芽が育ち、900年かけて育てた。アメリカでも、最初は支配者の利益を図ろうとする打算が動機だったが、ひとたび民主主義の芽が出れば、あらゆる雪や霜の寒さともたたかって、すくすくと伸びた。1946年のフランス共和国の新憲法は、フランス革命の精神をただ単に守り抜いているばかりではなく、その精神を新しい時代にふさわしく拡充しようとしている。(37-63p)
・政治に無頓着な人(棄権する人)に二つのタイプがある。(1)相当の知識もあり、能力もありながら、かえってそのために、政治をくだらないこととして見おろそうとする人々である。(2)政治を自分たちにはわからない高いところにある事柄だと思う人々(「私にはむつかしいことはわからないから」)。どちらも正しい態度ではない。選挙権は、権利でもあるが道徳上の義務でもある。というよりも、むしろ多くの人々の幸福を思う愛情の問題である。選挙場に行かなかったら、乳房を与えてあやしている我が愛児が、その一票のために将来独裁政治の犠牲になるかもしれないということは、けっして物語でも、おとぎばなしでもない。(106-107p)(←当時は非常にリアルに受け止められたであろうこの言葉は、現代では何処まで受け止められるか。しかし、真実である)
・「多数決は、これならば確かに正しいと決定してしまうということではなくて、それで一応のけりをつけて、先に進んで見るための方法なのである。」「少数の声を絶えず聞くという努力を怠り、ただ多数決主義だけをふりまわすのは、民主主義の堕落した形であるにすぎない」(118-120p)
・民主主義の落とし穴。多数をしめた政党に、無分別に権力を与える民主主義は、愚かなウグイスの母親と同じことである。そこを利用して、独裁主義のホトトギスが、民主主義の巣ともいうべき国会の中に卵を産みつける。そうして、はじめのうちはおとなしくしているが、ひとたび多数を制すると、たちまち正体を現し、すべての反対党を追い払って、国会を独占してしまう。民主主義はいっぺんにこわれて、独裁主義だけがのさばることになる。ドイツの場合はまさにそうであった。(117p)
・(巧妙なメディア宣伝の中から健全に判断し、正しい主張を)冷静に判断しうるのが、「目ざめた有権者」である。(131p)





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最終更新日  2019年02月22日 18時31分31秒
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