再出発日記

2020/08/04(火)16:35

図書 2020年8月号

読書(ノンフィクション12~)(911)

「図書2020年8月号」 (斎藤倫「本をひらいた時5」) 友人が女性を映画「タイタニック」鑑賞に誘った時に、沈んでしまうことを口滑らして怒られたらしい。 「タイタニック」において「沈む」はネタバレなのか?ネタバレが随分とタブーになったのはいつ頃からなのか。 「ぼくらは、そうやって、遠くに仮構した無垢を、ちびちび消費して生きているのではないかと思う。(略)子どものようなネタバレのない世界を、わくわくしながら、いつまでも待ち望んで。情報量とともに増える「伏線」に怯えながら」 実に詩人らしい表現で、それ以上に展開されないが、私はかなり「腑に落ちた」。 小さい頃から「虐め」に怯え、不況に怯え、コロナに怯えて育ってきた「平成の子どもたち」は、無垢な大人になりたがっているのではないか?だから、ネタバレなしの真相にいつも新鮮な驚きや悲しみを感じたいし、いつもドキドキする伏線を待ち望んでいる。膨大な情報量を「伏線」として理解したがっている。テレビがいつもわかりやすい「真相」を教えてくれると思っている。伊坂幸太郎作品に対するレビューがいつも「伏線回収を称える」ものになっているのも、そのせいかもしれない。伏線回収は伊坂の魅力の1割ぐらいでしかないのに。 ところで、「タイタニック」のいったい何処から何処がネタバレなんだろ?私は未だにわからない。 (橋本麻里「かざろ日本10奇想の花」) 夏の花は朝顔である。現代は様々な色の花が咲いているが、奈良時代から江戸時代にかけて、日本の朝顔には青い花しか存在していなかったらしい。今回は6pかけてアサガオ品種改良の話を書いている。ここまでまとまっている文章を他に知らない。江戸時代、品種改良のブームは二回起きたらしい。なんと、現代でも千葉県佐倉市国立歴史民俗博物館附属「くらしの植物苑」において、毎年江戸時代に生み出された変化朝顔の約100系統700鉢の展示があるらしい。時代小説に時々現れるアサガオの品種改良に血道をあげる輩の物語の一端を知れるかも知れないが、残念ながら今年は到底見に行けない。 他にもたくさん興味深いエッセイがあったのですが、帯に短し襷に長し、今回はここまで。

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