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September 1, 2009
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秋が近づいて来ました。秋を越えると…残念ですがわたくしの年齢も大台に乗ります。
どこの大台かは“秘密”ですが、この年代になりますと、しばらくぶりに同級生も会うと誰だか分からないくらい○ゲた奴ですとか、どうやったらこんなことになるのだ?と思うくらい、節操なくふ○った奴(我が身も同じか)が、偉そうに目の前に現れたりします。
ええ、見た目だけは重役や社長の貫禄を十分に身につけております。

お盆前になりますが、友人の焼鳥屋でお墓参りの話をしながら呑んでいる時に、(話題が歳を感じさせますね)わたくし達の耳には情報は入ってこないが、すでに位牌でしかお会いになることが不可能になっている同級生がいるのではないか?と、いった話題になりました。

友人いわく「周囲にはいないなぁ~、みんな年に1、2回は店に顔出すからさ、その時にもそんな情報も入ってこないからさ」と言うので安心して、焼酎を呑んでいましたが…

“あっ”そう言えばと二人同時にお互いの顔を見ました。
仲の良かった友人の事を…それは30年も前の事ですっかり忘れておりましたが、若くして難病でなくなった友人がおりました。

そいつは、身長175センチオーバー、ガリガリに痩せていてその顔は、漫画家の秋山ジョージが書いていたデロリンマンそっくりの恐ろしい顔をしておりました。
しかし、見かけはそうですが、デロと呼ばれながらも心は本当に優しく、同級生達皆に好かれておりました。

高校卒業後、ほとんどの同級生は札幌に進学か浪人しておりましたので、週末の夜には誰かの下宿かアパートに集まって酒盛りをしたのですが、ある日銭湯に行くと、デロが「なんか脇腹の当たりがドクドクと音が聞こえる時があるのだけど…なんだべ?痛くはないんだけど」と言っていましたが、わたくしも含めて友人達は「無駄な日々を送っているからではないかな?デロ君、わたくし達を見習い給え」なんて、浪人をしていたデロをからかったりして気にもしておりませんでした。

それからしばらくバイトなんかで忙しくて会っていなかったのですが、バイト先に友人から電話が掛かって来て「デロが急に倒れて入院した。手術したけど、ダメだった。難病だったらしい…通夜は終わったから明日葬式だよ、お前も来れる?」

…呆然でした。

訃報が伝えられた夜は、高校時代、下宿生だったのでわたくしの家に泊まったりもした事などが思い出され、バイトも手につきませんでした。

次の日、初めて身内以外の葬儀に列席しました。
わたくし達はデロにもう会えない寂しさと、着慣れないスーツ姿にすっかり疲れ、やはり履き慣れない革靴で靴擦れができた足を引きずって安アパートに帰り着きました。

夕方までぼーっと、すっかりルーティンと化していたTVの再放送を見ていましたが、誰言うとなく「よし、デロといつも呑みに行ったグランド居酒屋富士に行くか!まだ5時前だから酒1杯100円だ、行くぞ」と、今は焼鳥屋のサダ、建築資材営業のケンゴと、わたくしで出かけました。

安いTシャツにGパン、汚いスニーカーに着替えススキノ駅を出て店に着いたのは5時30分くらい、まだ店はすいていました。
店に入ると従業員さんが「どうぞ4名様ボックス席へどうぞ~」と言うので、「いえ3人です」というと「えっ?はい?…どうぞ」と、案内された席に座ると、お通しも4個出て来ます。「すみません3人です」と言うと、こっちを見回して「あれ?すみません、そうですね?おかしいなぁ?」と怪訝な顔で1個下げて行きました。

注文はもちろん100円酒を3本です。ハイライトを吸いながら待っていると、出て来た徳利は4本お猪口も4個…

…鈍い3人もやっと気がつきました。静かにお猪口4つにお酒をついで「デロ呑めよ…」
貧乏な3人でしたが、この日はポケットと財布から有り金をテーブルの上に出し、思い切り高校時代の楽しくもアホな話をしながら、目には見えなくても、間違いなくわたくしの向かいでハイライトを吸いながら座っている“デロ”と一緒に夜が更けるまで呑み続けたのでした。

これは本当のお話ですよ、「グランド居酒屋富士」の店員さんがボケていなかった証拠に…この日次に行った「一善」でもやはり「4人様」扱いは変わらなかったのですから。

その夜の「焼鳥工場SADA房」では、貫禄だけは1人前の2人が、「忘れていてゴメン、今もあの若い時のまま変わらないデロが羨ましい~」なんて供養のつもりで、冗談を言いながら焼酎を呑んでいたのでした。

1杯100円にはしてくれなかったけど…ケチ…





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Last updated  September 1, 2009 01:02:37 PM



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