この作品はいかにビジュアルデザイナーとしてその異彩を放っていようとも映画というジャンルでは一流人たり得ないことを見事に証明して見せた失敗作である。
確かにこの作品のビジュアルシーンは見事なもので、ワンシーンワンシーンが芸術的であるとも言える。しかし、一本の映画としては細切れの産物でしかない。物語として一つにまとめることのできない演出家による駄作といわざるを得ない。
なぜ、こんなおすすめできないような作品を今夜は紹介するのかというと、この作品には唯一、見事な見せ場があるからである。
それは樋口真嗣監督がアクションシーンの演出をした場面、キャシャーンがルナを守るために初めてロボット軍団に向かっていくときのスピーディーなシーンである。この場面はまさしくオリジナルアニメのスピード感を見事に映像化し、しかもそのリズム感はさすがといわざるを得ない仕上がりになっているのである。この一場面をみるだけでこの作品を見る値打ちがあるのではないだろうかと今夜のおすすめ映画にご紹介しました。
他の場面は全く紀里谷和明監督の独りよがりの自己主張以外のなにものでもないプライベートフィルムである。こんな作品に破格の製作費をつぎ込んだスタッフ側に警告したい。この作品をメインに過去のアニメの名作が実写版でリメイクされたが、思い切り吹っ切れて作った「キューティーハニー」以外に成功作品は一本もない。いったい日本映画界は何をしているのかといいたい。
日本のアニメーションは世界一である。その独創性、表現力、技術共に世界に誇れるものを持ちながらその良さを理解していない映画人が実写版にのぞむなどちゃんちゃらおかしいのである。
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CASSHERN WOWWOWpm10:00
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CASSHERN
メディア 映画
上映時間 141 分
製作国 日本
公開情報 松竹
初公開年月 2004/04/24
スタッフ
監督: 紀里谷和明
原作: 竜の子プロダクション 「新造人間キャシャーン」
脚本: 紀里谷和明
菅正太郎
佐藤大
撮影監督: 紀里谷和明
ナレーション: 納谷悟朗
バトルシーンコンテ: 樋口真嗣
キャスト
伊勢谷友介 (東鉄也/キャシャーン)
麻生久美子 (上月ルナ)
寺尾聰 (東博士 )
樋口可南子 (東ミドリ)
小日向文世 (上月博士 )
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解説
70年代前半に人気を博したTVアニメ「新造人間キャシャーン」を、VFXやCGを駆使した最新のヴィジュアル表現で実写映画化したSFアクション。
監督は宇多田ヒカルのミュージック・ビデオなどで高い評価を受け、これが劇映画デビューとなる映像クリエイター紀里谷和明。主演は「カクト」の伊勢谷友介。
ストーリー
そこは現代の世界とは全く異なる歴史を歩んできた世界。大戦は50年も続き、世界は大亜細亜連邦共和国とヨーロッパ連合という、2つの陣営に分断されていた。戦いは大亜細亜連邦共和国の勝利に終わるが、人心は荒廃し、様々な後遺症と荒れ果てた大地だけが残った。
そんな中、東博士は重い病に苦しむ妻を助けたい一心で、人間のあらゆる部位を自在に造り出す“新造細胞”理論を構築する。やがて、それを私欲のために利用しようとする軍関係者の援助で始められた実験は、博士の思惑を超え、“新造人間”なる新生命体を生み出してしまうのだった…。
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